雑音
 
 
 
 世の中には必ずしも心地よい言葉ばかりではない。耳障りな言葉、できれば聞きたくない言葉も必ず聞こえてくる。すべての言葉ひとつひとつに耳を貸していたらそれこそ疲れてしまうから、耳に栓をして塞いでしまうことも必要かもしれない。そうすれば、自分には何ひとつ雑音が聞こえなくなるだろう。しかし、耳を塞いだらすぐに気付くはずだ。何も聞こえなくなってしまったら、終わりなんだと。
 
 仕方なく耳を塞ぐのを止める。また、雑音に悩まされる。それでも、辛抱して聞いていることにすると、今まで雑音と思っていた冷やかしや愚痴や押しつけがましい意見の中に、自分を励ます言葉が聞こえることに気が付く。
 
 それは、よく聞くと自分の声なのだった。どんなに耳を塞ごうと、言葉を飾ろうと、世の中でただひとつ、自分の言葉だけは消すことができない。雑音の中でそっと耳を澄まして、自分の声に耳を傾けることが大切だと思う。