小学生の頃、自分の通信簿をみるたびに、ため息をつきながら思った。なんでこんなに「ふつう」なんだろう?きっとまだ本気を出してないせいなんだ、なんて。そして、今はどうかというと、たとえば村田諒太選手がチャンピオンベルトをかけて過酷な世界戦に挑む姿に声援をおくりながら、本当は他人の挑戦に熱くなるだけじゃなく、自分自身が死に物狂いでチャレンジしなきゃダメだろう、と思う。結果がすべてという人がいる。どれほど必死に努力しても結果が伴わなければ、単なる自己満足でしかなく、やるだけ無駄というのも一理ある。一方で、過程が大事という人もいる。どっちも正解に思えてきて、結局、よくわからないまま過ごしているのが今の自分。陽水さんのライブへ行くと、何となく原点に戻れる感じがする。日常から少し離れて、冷静になれるような気がするのだ。

 「みなさん、お元気でしたか。年の瀬のお忙しい中、わざわざお越しいただき、誠にありがとうございます。」そんな風に当たり前の挨拶をするだけで、観客は笑ってしまう。どこか浮世離れした感じを抱かせるのはどうしてだろう?あまりガチガチやってなさそうなのに、ビジネスとしてちゃんと成立させている。天才は努力なんてしなくていいのか。いや、当然、努力はしているのだろう。でも、遊び心が伝染してくるせいか、現実を肯定できる気分になってホッとしてしまう。この日も、陽水さんは饒舌だった。座右の銘が「誠実」という話は、たぶん初耳だった。どこまで本気で言っているのかよくわからないから、次回は別の言葉に変わってるかもしれないが(笑)。毎年、冬にカニを贈ってくれる人がいるそうで、今年も届いた。ちょうど家族がいない日に届いたので、一人で食べた話が可笑しかった。罪悪感があるがゆえの美味しさ(笑)。でも、1杯目の美味しさに比べたら2杯目はそうでもなかった。という前振りがあって、「ブラタモリ」の主題歌「女神」が1番しか放送でかからないのはそのためだという落ちでまた笑わせる!そんな楽しいMCに続いて、「女神」やエンディングテーマ「瞬き」を聴かせてもらうと、歌に対してより一層の親しみを感じてしまう。忌野清志郎と出会って共作した「帰れない二人」のエピソードも興味深かった(この話は何度か聞いているが)。その頃、陽水さんはアンドレ・カンドレ名義で活動しているのだが、一方の清志郎さんは自分の名前に「忌まわしい」を使うそのセンスがすごいよね~と敗北感をにじませていた。よくわからないけど、確かにすごいと思ってしまう。陽水さんは、強い口調で押しつけがましく話すことはないが、かといって、中身のない上っ面の話もしないので、ついつい引き込まれてしまう。

 今回は、「少年時代」や「リバーサイドホテル」もなく、「最後のニュース」も聴けなかったが、十分に満足できた。「なぜか上海」が聴けたのは嬉しかった。不思議な歌詞なんだよね~。途中で掛け合いについての話になり、具体例としてビートルズの「ツイスト&シャウト」を歌って、これが掛け合いだと説明があった。それに続き「銀座の恋の物語」を歌いながら、これば掛け合いじゃないよね、という解説。とにかく、変幻自在というか、基本的にサービス精神旺盛な人だと思う。

SetList
1 この頃、妙だ
2 PI Po Pa
3 フィクション
4 青空、ひとりきり
5 Make-up Shadow
6 お願いはひとつ
7 My House
8 なぜか上海
9 ワインレッドの心
10 女神
11 瞬き
12 帰れない二人
13 神無月にかこまれて
14 Just Fit
15 コーヒー・ルンバ
16 とまどうペリカン
17 夜のバス
18 愛されてばかりいると
19 氷の世界
20 結詞
Anc
21 アジアの純真
22 夢の中へ
23 傘がない

♪井上陽水 コンサート2017秋 ”GOOD LUCK”
東京国際フォーラム ホールA
2017年12月3日(日)17:05-19:50/1F 35列12番