よこはまサウンド♪スペシャルコンサート
〜ポップス&スクリーンミュージック〜
2010.1.30 神奈川県民ホール

 
今年の初ライブは、友人に誘われてオーケストラの生演奏を聴くことになった。といってもクラシックではなく、ポップスと映画音楽である。指揮・編曲担当の藤野浩一氏はNHKでの仕事が多いようで、80年代の人気番組「レッツゴーヤング」や紅白歌合戦で活躍してきた人らしい。軽快なトークも面白く、音楽と観客との一体感をうまくつくっていた。演奏は40年の歴史がある神奈川フィルハーモニー管弦楽団。昨年から金聖響氏を常任指揮者に迎え、ホールの外でのアウトリーチな活動が話題になっている。
 前半が「ザッツ・エンターテイメント」から始まる映画音楽。美人ヴァイオリニスト、川井郁子さんを迎えての「ニュー・シネマ・パラダイス」がすばらしかった。エンニオ・モリコーネの美しい旋律が何ともいえぬ滑らかな音色で心に響いてきて、映画のラストシーンが蘇った。ジャズ・コーラス・グループ「jammin’Zeb」は「A列車で行こう」をとびきりのハーモニーで聴かせてくれて、これもなかなかよかった。しかし、エンターテナーという意味では、グッチ裕三、この人が一番である。「僕は歌手です!板前ではありません!」と自己紹介して登場すると、会場が笑いでいっぱいになった。「ポル・ウナ・カベーサ」という歌を歌ったのだと思うが、伸び伸びとした明るい歌声は、聴いててとても心地よかった。
 休憩をはさんで第二部がポップ・ミュージック。グッチさんが最初に歌ったのは、ルイ・アームストロング(サッチモ)の名曲、「What a wonderful world」だった。ベトナム戦争時代、平和を希求して書かれた歌なのだそうだ。映画にも度々登場していて、ロビン・ウイリアムズがDJに扮した「グッドモーニング・ベトナム」(87)や「ジャズやるべ!」の山形弁台詞が笑えた「スウィング・ガールズ」(04)などで使われている。心に染みてくる歌であり、メッセージである。 グッチさんは歌もうまいが、トークも大爆笑だった。三宅祐司さんと仲がいいらしく、家族ぐるみで沖縄旅行へ行ったときのエピソードが実に面白かった。
なんでも三宅さんの奥さんはかなりの天然系らしく、ノースリーブがノーブリーフになったり、ホテルのチェックインがベッドインになったりと、どこまでホントかわからないが面白い話が盛り沢山だった。実はオペラ歌手でもあるとかで歌ったオペラ曲「Cielito Lindo」(だったかな)がとても上手で聴き応えがあった。つくづく多才な人だと思うし、とにかくサービス精神たっぷりである。多才といえば、川井郁子さんもすごい。ストラディヴァリウスを弾きこなすだけでなく、大阪芸術大学の教授でもあり、さらにテレビの司会をやったり、作曲家でもあり、女優でもあるという。天は二物を与えずというが、3つも4つももらっちゃってる人である。
 なぜか予定より1時間近くも早く演目を終えてしまったので、前半でやった「80日間世界一周」を再演してくれた。映画は見たことがないが、曲の方は有名で、「あぁ、この曲がそうなんだ」という感じだった。実質1時間半ほどのコンサートだったが、内容が濃くてあっという間に終わってしまった感じだった。
 神奈川県民ホールには何度も来ているが、玄関から入って正面のところに、棟方志功さんの版画が飾られてることに初めて気がついた。実に独創的で、とても優しさを感じる女性たち。棟方さんの作品をみると、ふと宗教的な安らぎを感じる。そういう芸術が好きだなと思う。とてもいい夜だった。