新年早々、突如発表されたユニコーンの再結成!ファンにとってはまさかの嬉しいニュースだった。1993年、惜しまれつつ解散してから16年である。僕がユニコーンを知ったのもちょうど16年前になる。友人(後藤)から薦められて聴いたのが解散直後にリリースされたベスト盤だった。そのときは2、3度聴いて放っておいたのだが、あるとき、車中のAMラジオから流れてきた歌を聴いて、涙が出るほど感動した。「すばらしい…」という歌。それがユニコーンだったので驚いて、自宅に帰ってから急いでベスト盤を聴き直してみると、確かに収録されていた。「すばらしい日々」だった!僕はまた泣いた。すごい歌だと思った。何のことを歌っているのかわからない歌詞なのに、心の奥の奥まで届いてくるような普遍的なものを感じた。美しくもあり独特でもあるメロディや琴線に触れるサウンド。僕はその日その瞬間からユニコーンのファンになった。すでにユニコーンは存在しなかったが、その1994年、ボーカルの奥田民生がソロ活動をはじめていた。シングル「息子」を聴いて、またまた揺さぶられた。すごい歌だった!奥田民生、この人はすごいぞ!僕はユニコーンというより、奥田民生に強烈なシンパシーを感じた。当時、まだ社会に出たばかりの自分は、これからこの人と同時代を生きていくんだという、運命共同体的な親近感を勝手に抱き、勝手に感動していた。それから自分にも世の中にもいろいろあったあっという間の16年間が過ぎて、今日のライブなのである。
 19時10分、横浜アリーナが割れるような歓声に包まれた。ユニコーンでは定番のどん帳がステージ前にぶら下がり、その向こうで演奏が始まった。ニューアルバム「シャンブル」と同じく「ヒマワリ」からのオープニング。ステージ奥から照らされたライトでメンバーのシルエットがどん帳に揺れている光景。「果てしなく続くような世知辛い世の中を 半分とどれくらい僕達は走ったか」と始まる阿部さんの歌詞は、まさにこの16年間の経過を意味していたと思う。続く「スカイハイ」は民生の曲だ。これがまたいい歌だ。「僕は描いていく 空に描いていく 君に見えるよう 君に届くよう」と人生を、青春を清々しく歌い上げる。それからEBIの「ボルボレロ」でガラッと雰囲気が変わる。これが、ユニコーンである。5人全員が歌を書き、歌う。それがまるで違った歌なのがユニコーンというバンドである。今回、ユニコーンってドリフだなって思った。そう思うと阿部さんの顔は何となく志村けんに似てるし、民生は加藤茶のような役回りだ。ボケ役のテッシーが高木ブーで、控えめなEBIが仲本工事、リーダーの川西がいかりや長介という配役でぴったりだろう。
 4曲目の「おかしな2人」から古い曲も始まって、ますます会場は盛り上がった。客層の中心は20代〜30代前半くらいの女性ファンで、僕を含め初ユニコーン・ライブという人が多かったようだった。ということは、ユニコーン活動時は小学生か中学生だったということか?!確かにユニコーンは女子中学生にも人気だったらしいから、当時はライブに行く小遣いがなかった子供らが社会人になって、初ユニコーンに来たということかもしれない。そして恐らくは、民生のファン、そしてパフィーや木村カエラのファンが民生のいたユニコーンに還流する形で来ているのかもしれない。
 EBIや川西さんが歌うときには民生がベースやドラムをやっていた。阿部さんがギターを弾く場面も結構あって、今回のニューシングルになった「WAO!」のときも阿部さんはキーボードではなくギターを弾いていた。今回の再結成は、阿部さんの発案だったらしい。民生に声をかけて、いいんじゃないという話になって、とりあえずスタジオに入って、やれそうならやるという感じだったようだ。
 結果的に50曲くらい集めて、その中から選ばれた15曲がアルバムに収められている。「これってユニコーンかな?」という感じもしばらくしていたが、ライブへ行って確信した。これは間違いなくユニコーンで、しかも、この音楽世界はこの5人でないと醸し出せない空気感をもってると思えた。アルバムができるまでを記録したDVDの中で、「お互いに歳をとったので、昔のようにオレがオレがという感じもなくなり、いい雰囲気で音楽づくりができた」というようなことを阿部さん(だったと思う)が言っていた。これぞ、再結成の価値だなと思える言葉であり、言葉以上に音楽がそれを証明していると思う。そういう意味でも感慨深いライブである。
 メンバー5人と書いたが、ライブの終盤、確か「大迷惑」のときだったと思うが、6人目のメンバーとしてしーたかさんが登場した。感動的なサプライズだった。リーダーである川西さんが活動途中で脱退してしまい、急遽、交代要員としてドラムを叩いたのがしーたかさんだった。結局、すぐに解散してしまうのだが、その後10年間、しーたかさんは民生のソロ活動に加わっていて、僕も大好きな熱〜いドラマーである。ダブルドラマーが並び、「今まさに歴史的な和解である」と大上段に語る民生が可笑しかったが、冗談であり、真実でもあるような瞬間だった。最後の曲はアルバムと同じく「HELLO」。阿部さんが書いた歌だが、よくよく聴いてみると、最後のシングルとなった「すばらしい日々」のアンサーソングのような気もしてくる。「加速せよタイムマシーン 君に会いにゆく」と力強く民生が歌っているのを聴くと、ふと涙が出そうになった…。
 アンコール一幕は、阿部さんの独壇場だった(笑)。阿部さんが暴れる場面がないな〜と思っていたら、最後にとってあったわけだ(笑)。名付けて「義晴アリーナ」のコーナー。所属会社「CSA」が潰れてしまったので、今ある会社名に替えて歌った「SMA」と「人生は上々だ」の2曲を歌うだけで30分くらいかけていて、「阿部義晴、健在!」って感じだった。そして、アンコール二幕の「すばらしい日々」で終演となった。この歌で終わり(解散)と始まり(再結成)がつながったような感じである。時計を見ると、22時10分。16年間の穴を埋めるようにたっぷりとユニコーンの世界を堪能させてもらえた。全くすばらしい時間だった。16年前、メンバーが袂を分かちそれぞれの道を歩んできて、そして今再び交差し、共に歩き始める。諦めつつ諦めきらない、そんな道もあるのだということを今日のライブで感じることができた。16年前、彼らはバンドの存続を諦めて解散した。いいも悪いもなく、そうせざるを得なかった。再結成は絶対にないと誰もが思っていただろう。「5人でいい音楽を創る」、それが目的だとしたら、16年前の解散と16年間に渡るそれぞれの活動は却って必要だったといえなくもない。この夜、目的は果たせたんだと思う。そして、さらなる次の目的が続いていくのかもしれないが、それを選ぶのは彼ら自身である。何のための音楽、何のための人生か?当初の思いどおりでなくても、未来に可能性を託して信じるのならば、それはそれですばらしい日々で、人生は上々なのではないか。自分がそうだと思えばそうなのである。ちょっとした考え方で、困難にも簡単にもなることなんだ、きっと。