U2を初めて聴いたのは、たぶん「ニュー・イヤーズ・デイ」(83)だと思う。高校1年だった僕は、土曜日深夜に放送していた「全米トップ40」をメモ書きして、月曜日にクラスメイトのS君とリストの穴埋めをしながら、あーだこーだと半日くらい洋楽談義に花を咲かせていた。その中に、この曲もあったと思う。当時は、特別好きというほどではなかったが、気になるバンドではあった。そして4年後(1987)、伝説的な名盤「ヨシュア・ツリー」が誕生することになる。このアルバムで僕は心を鷲づかみにされた。他の誰とも似ていないエッジのギター、そして情感のこもったボノの歌声に何度、感涙したことだろう。過去のアルバムやロードムービー「RUTTLE AND HUM」などを通じて、まだ見ぬアメリカに憧れを抱いていたものである。実際に彼らの来日公演をみたのは、「ZOO TV TOUR」(1993)と「VERTIGO TOUR」(2006)、そして13年ぶりの今回で3回目になる。しかも、今回は、名盤「ヨシュア・ツリー」を完全再現したライブである。これは奇跡としか思えない!
セットリストにあるように、はじめの5曲は、彼らの初期ヒット曲である。そして、アルバムと同じく「Where the Street Have No
Name」から「ヨシュア・ツリー」の幕開けとなった。巨大スクリーンに映し出されたのは、アメリカ西部、おそらくアリゾナ州の砂漠地帯を走るフリーウェイであろう。1990年のアメリカ一人旅で、留学中の友人Kとシボレーを飛ばした道と同じかもしれない。そんな風に思いながら、青年期の記憶と音楽とが交錯し、感情が爆発し、高揚した。アメリカ進出したU2は、この曲から快進撃を続け、世界的ビッグスターになったのだ。移民の国アメリカをアイルランド人の視点で開拓していく音楽の旅は、とても深遠な物語でもあった。スクリーンには様々なメッセージが投映され、音楽とのコラボレーションが楽しめる仕掛けになっていた。日本語も頻繁に使われ、「愛は行く手を遮る全てを凌駕する」といったフレーズも力強く迫ってきた。終盤には、世界的に活躍する女性たちの写真が映し出された。10月に亡くなった緒方貞子さんの写真もあったし、10代の環境保護活動家、グレタ・トゥーンベリさんの姿もあって、U2は変わってないなと思えて嬉しかった。彼らは、初期の楽曲「Sunday
Bloody Sunday」でも政治的なメッセージを謳っていたが、ビッグアーチストになった今でも彼らの信念に揺るぎはない。なかなかできることではないだろう。
Set List
01 Sunday Bloody Sunday
02 I Will Follow
03 New Years Day
04 Bad
05 Pride(In the Name of Love)
06 Where the Street Have No Name
07 I Still Haven't Found What I'm Looking For
08 With or Without You
09 Bullet the Blue Sky
10 Running to Stand Still
11 Red Hill Mining Town
12 In God's Country
13 Trip Through Your Wires
14 One Tree Hill
15 Exit
16 Mothers of the Diappeared
17 Angel of Harlem Encore
18 Elevation
19 Vertigo
20 Even Better Than the Real Thing
21 Every Breaking Wave
22 Beautiful Day
23 Ultra Violet(Light My Way)
24 Love is Bigger Than Anything in its Way
25 One
♪U2
「THE JOSHUA TREE TOUR 2019」 さいたまスーパーアリーナ
2019年12月4日(水)19:35-22:00/Nゲート2列135番