手島いさむ50祭ワシモ半世紀
 ユニコーン/電大/手島いさむソロバンド/阿部民バンド
 日本武道館
 2013年8月28日(水)18時30分〜22時


 2階南西スタンドG列50番「人生は上々席」である。かなり後ろだが、音楽を聴くのだから大して問題ではない。チケットが取れただけラッキー、という状況は相変わらずのようである。ユニコーンが再結成されて早4年。デビューから7年で解散したことを考えると、あっという間の4年という感じである。今回のライブは、手島いさむ50歳を記念したもの。ちなみに他のメンバーの年齢は、川西幸一54歳、奥田民生48歳、EBI(堀内一史)48歳、阿部義晴49歳。すっかり中年オヤジなのにすげ〜元気!すげ〜人気!なので、すげ〜驚く!

 はじめは電大。手島、川西、EBIで2012年に結成したバンド。3人が広島電機大学出身ということでこの名前らしい。3人

ともボーカルができるのだが、正直なところあまりピンと来ない。ユニコーンの看板しょってるから売れるんだろうけど…。
 次が始まる前に「手島in手島」というビデオが映し出された。香川県の手島という小さな島にテッシー(手島)が行く話。特別何も起きないのだが、テッシーの素朴な人柄が伝わってきて、休憩にはちょうどよい。

 ビデオを挟んで、次は地球三兄弟かと思いきや、阿部民バンドというバンドだった。やはり民生と阿部の人気は別格で、観客がググッと前のめりになったのがわかった。二人はビートルズでいえばポールとジョン、イーグルスでいえばドンとグレンというところだろう。どんなバンドでも不思議とそういう構成になっている。地球三兄弟は真心ブラザース(桜井秀俊、YO-KING)+民生で、さらに阿部が加わったのが阿部民バンドだから、似たようなものである。民生のソロデビュー時の「愛する人よ」や「御免ライダー」やユニコーンの「WAO!」などをやった。民生が歌った瞬間、ゾクゾクッとしたのは、やはり「歌の力」だろう。ボーカルには強烈なパッションが必要である。

 そしてまたビデオ休憩があって、次が手島いさむソロバンド。ソロ活動もしているが、全然聴いてないので、知らない歌ばかり。テッシーが主役ではあるが、どうにもユニコーンの前座的な感じがぬぐいきれない。まあ、テッシーのよさは、そういう立場をわきまえた上で、淡々と任をこなすところかもしれない。ある意味、人間がこなれている!

 3回目の「手島in手島」が終わると、いよいよユニコーンの登場である。1曲目が何だったか忘れてしまったが、一気に盛り上がりが加速した。やはり、メインボーカルは民生がいい。そして、「服部」。あまりにも格好いいギターリフから始まるこの歌で、武道館は割れんばかりの歓声と悲鳴で埋め尽くされた。「粋も甘いも知り尽くすには10年早い お家に帰って泣いてろ」だから、笑いつつも頷いてしまう。続く「ヒゲとボイン」も名作である。僕のハンドルネール「赤ヒゲ」は、黒澤明の「赤ひげ」にこの歌のヒゲをひっかけたものだが、「ああ永遠の深いテーマさ ヒゲとボインが手招きする」という詞のとおり、人類は今も昔もこれからもずっと権力と男女の関係に翻弄され、類似したドラマを永遠に量産し続けていくんだろうと思う。再び「WAO!」があって、「オレンジジュース」、「裸の太陽」があって、名曲中の名曲、「すばらしい日々」で幕を閉じた。たまたまAMラジオでこの歌を聴いてから僕はユニコーンのファンになった。何度聴いても深く刺さってくる歌詞とメロディ。長めの後奏がこのままずっと続いて欲しいといつも思うのだが、いつか終わってしまう。楽しい日々もいつか必ず終わりがくる。だからすばらしいのか、わからないまま「すべてを捨てて僕は生きてる」しかないのである…。

 アンコールは新曲の「ゴジュから男」、そして「HELLO」。3時間半ものお得感のあるライブだった。テッシーといえば、「デーゲーム」と「自転車泥棒」という名曲を残している。演歌のように一発当てれば一生食っていける、わけにはいかないだろうけど、本当にいいものは古びないものである。彼らが音楽を生業とした「与える男」たちであるように、自分もしっかりと恥ずかしくない「働く男」でありたいと、ユニコーンを聴くといつも思うのである。先日、歯医者で読んだ雑誌に、「半沢直樹」の原作者、池井戸潤の記事があって、次のようなことを言っていた。曰く、ノウハウ本や単なる情報は一時しのぎのビタミン剤のようなものでしかなく、周り道のようでも、ドキュメンタリーを読んでしっかり感動したことの方が余程役に立ってくる、というようなことだったと思う。ライブへ行くのもこれに尽きる。全くもって遠回りのようではあるけれど…。