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ミュージカル・ロマン
La Esperanza−いつか叶う−
レビュー・ファンタジア
TAKARAZUKA舞夢
職場の先輩に誘われて宝塚観劇をしてきた。劇場に一歩入るとまさに「女の楽園」そのものの世界。男だけでは劇場の前を通るだけでも赤面してしまうほど、そこは特別なオーラに包まれていた。観客の99%は女性のようだったが、年齢層の厚さは流石だった。僕は、以前間違って女性専用車両に乗ってしまったときのことを思い出して、軽い目眩を感じつつ、ただただ会場が暗くなるのを待っていた。
突然のアナウンス。「お待たせしました…」それが劇場関係者のアナウンサーではなく、主役カルロス(春野寿美礼)の声だと理解するやいなや、たちまち劇中に放り込まれていた。
宝塚劇場は、二部構成になっていて、前半が約1時間半の物語、20分ほどの休憩を挟んで後半が約1時間のレビュー。
まずは花組公演「La Esperanza」。スペイン語で「希望」を意味するこの物語は、アルゼンチンを舞台としたタンゴダンサーと画家のラブ・ストーリー。主役カルロスの恋人ミルバ(ふづき美世)、ライバルダンサーのベニート(水夏希)などなど、僕には誰が誰でもよいのだが、とにかく配役がわかるようにオペラグラスで始終顔を確認しながらステージを見ていた。似たような顔とスタイルと身のこなしをした男女(正確には女女)が約80名も出てきて、踊ったり歌ったりするステージはなかなか壮観である。しかも、音楽はすべて生演奏。まったくゴージャスな世界ではある。
宝塚初体験で、発見があった。まず何と言っても、男役スターが女であることなどつい忘れていること。そして、スターの魅力は、確かに相当のものがあるということ。ステージに出てくるだけで「華」になる。台詞や唄、踊りもすべてできるわけだが、とりわけ表情が素晴らしかった。身のこなし、着こなし、気持ちも男っぷりもいい。こういう男がいれば間違いなくもてるに違いないという正統派二枚目タイプ。トップスターになれる人はほんの一握りなのだろうけど、それは当り前である。外見だけでなく、内面からにじみ出る人格も素晴らしくて、しかもそんなオーラを自在に出せる人なんかそうそういるはずがない。
それにしても、盛りだくさんだ。脚本がよくできていて、ドラマとしてとても楽しめたし、予想に反して庶民的なギャグも多く、身近な印象でもあった。基本的にとてもポジティブな内容で、本当の悪者というのも出てこないし、見ていて爽快!
僕は門外漢でよく知らないのだが、作・演出は、正塚晴彦という人ひとりが担っている。映画のように、脚本家、監督、演出家、カメラマンというような分業はしないようだ。それと生演奏の音楽が本当によかった。タンゴあり、ワルツあり、和風の曲ありと、いろいろなジャンルの音楽が一度に聴けて、実に贅沢な感じ。しかも、舞台装置が超派手!特にレビュー「舞夢」の方は、次から次へと模様替えがされて、ピカピカしていて本当に目がチカチカしてしまうくらい。ある意味、桃源郷のようであった。
不思議な話だが、はじめ写真だけで見ていたときは、その特殊メイクにやや気色悪さを感じていたが、公演を見てからもう一度見ると、全然違ったイメージに変化していた。「これは美しい!」そう思わせる魅力、もしくは魔力が確かにある。 宝塚は今年90周年を迎えたそうだが、その長きに渡り人々(女性)に支持され続けてきた訳がちょっとわかったようなそんな夜であった。
2004/10/21 東京宝塚劇場
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