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「スーホの白い馬」
再話:大塚勇三(モンゴル民話)
馬頭琴という楽器にまつわる民話。初めてこの美しい物語に接したときは、泪が止まらなくて本当に困ってしまった。儚くて、悔しくて、そして、心温まる物語。その読後感は、主人公スーホと同じものだろうと思う。
世の中には、不思議と不条理なことが尽きない。誰が望んでいるわけでもないだろうに、目を覆いたくなるような惨事が後を絶たない。だからといって、あり得ないような理想郷を夢想することは、私個人は求めていない。あくまで現実味のある事柄の実現に向かって、努めていきたいと思う。
そのときの敵は、誰だろうか?私は、自分自身の弱さだろうと思っている。人間である限り弱さはある。そういう弱さと戦い続ける覚悟と勇気こそ、未来を拓く力になると思う。
スーホは、悲しみに打ちひしがれつつも、馬頭琴という楽器を生み出し、白馬と培った友情を生涯忘れずに生きた。そういう生き様に感動する物語である。
(福音館書店)
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