s  t  i  n  g
Sacred Love World Tour
at 武道館<2005/1/21>
 
 
ボクが初めてスティングを知ったのは、中学1年か2年の頃だった。洋楽にのめり込んだのはもう少し後で、その頃はFMでヒット曲を聴く程度だった。ポリスの「Every little thing she dose is majic」がヒットしていた。その頃は、正直なところポリスは、あまり好きではなかった。それより、ホール&オーツの「Kiss on my list」とかオリビア・ニュートンジョンの「Xanadu」の方が好きだった。というのもポリスの曲は、一般的な8ビートロックと違って、レゲーとジャズを混ぜ合わせたような感じで、当時のボクには変な音楽にしか聞こえなかったのだ。ふつうのロックではなく、クセのある独自の音楽世界をポリスはもっていたと思う。高校になってからは洋楽ばかり聴いていたが、その頃「Synchronicity」が大ブレークし、ポリスをよく聞くようになった。「Every breath you take」が大ヒットしたが、他のどの曲も良かった。それから初期のアルバムも聞いたりしたが、ポリス自体はこのアルバムの成功が元で、解散に追い込まれてしまったようだ。その後、スティングはソロになり「ブルータートルの夢」を発表。「If You Love Somebody Set Them Free」がシングルカットされ、スマッシュ・ヒットした。相変わらず不思議な音楽だったが、そういうところにボクも魅力を感じるようになっていた。
 
ゴードン・マシュー・サムナー。1951年生まれの英国人は、この日、53才である。学生時代、黒と黄色の縦縞シャツを着てステージに出ていたことから、「スティング=蜂の針」というニックネームで呼ばれるようになったそうである。ボクはこの日、初めて武道館のアリーナ席にいた。ステージ上のスティングは、まるで年齢を感じさせない(いつも姿勢がいい!)。エネルギッシュで、それでいて、成熟した大人の深みをまとっていた。やっぱ、カッコイイ!ツアーメンバーは、ドラム1、パーカッション1、女性コーラス2、キーボード2、ギター1、スティング1の計8名である。「こんにちは」「ありがとう」「元気?」などの短い日本語MCのほかは、ひたすら2時間演奏が続いた。ボクはMCのないライブだと物足りないことが多いのだが、この日は違った。退屈な瞬間など全くなかった。こういうライブは案外少ないので、これはスゴイことだと思う。4年ぶりの来日だったが、前回以上に、今回はジャズっぽいノリだった。間奏のソロがいくつもあったが、中でも女性ボーカルのアドリブは圧巻だった。エラ・フィッツジェラルドのスキャットに負けないくらいの迫力に、場内は拍手喝采だった。前回は、ベースの弾き語りがあったが、今回はなくて、代わりにベースとギターだけの「FRAGILE」が素晴らしかった。スティングの声は、それだけで「魅力的な楽器」なので、弾き語りだけでも十分だった。
 
「スティングは成功者だ」と言っても誰も否定しないだろう。でも、実力があったから成功したわけではない、と本人は云っている。一体、どういう意味なのだろう?何が成功であるかは、本当に難しいテーマだと思う。そして、その得体の知れない成功は、スティングが云うように「実力」だけで掴めるものでもない気がする。スティング本人がどんな人間なのかボクは知らないけれど、ステージ上の姿を見ていると、とても自然体の中に生命力をみなぎらせているように感じた。押しつけがましさもなく、まるで深い森の大木のようなイメージの静けさと躍動感を自在に操れる人、という風に感じられた。
 
ライブ終了後、同じアリーナ席でシノラー(篠原ともえ)を見かけ、その顔の小ささにビックリしてしまった…。