新幹線ちメンタル
        

大抵、旅行はクルマなので、新幹線は久しぶり。およそ10年ぶりに乗った。
10年が、過ぎたのである。目の前をあっという間に過ぎ去る車窓の風景のように、いろいろな出来事がボクの前を通過していった。過ぎてしまえば、儚く、空虚である。

昔、ボクは、福岡の小学校から東京へ出てきた。初めて乗る新幹線にワクワクしながら、数え切れぬほどのトンネルを数えていた。真っ暗なトンネルを抜けるたびに、幼なじみがいる故郷が遠ざかっていった。窓から見える山や畑や民家が福岡の景色と重なり、小さな心が引き裂かれるかのようだった。

10数年ぶりに福岡を訪ねたことがあった。懐かしい風景がいくつもの楽しい想い出を呼び戻すとともに、記憶とは違う変わり果てた現実にも出逢った。結局、本物の故郷は、心の中にしか残っていないと知った。

ワクワクした気持ちとセンチメンタルを一緒に乗せて走る新幹線。ボクにとっては、唯一、生涯変わらないものかもしれない。