SEIKO MATSUDA
CONCERT TOUR 2007
Baby’s breath
パシフィコ横浜 国立大ホール/20070629
先日、日本人の寿命がまた延びたというニュースがあった。今さら驚くということもないのだが、でも、よくよく考えてみるとすごいことだ。世界に194も国がある中で、なぜか、この小さな国(いや、大国?)が1位なのだ。世界には、平均寿命が30代という国もあるというのに、日本人はその2倍以上の82年間も生きている。松田聖子のコンサートとは何の関係もない話だが、セーラー服を着てステージで歌ってる「聖子ちゃん」を見ていたら、全く無関係でもないような気がしてきたのだ。「確かに、日本人は若くなっているなぁ!」と。
聖子ちゃんのコンサートに行くのは、初めてだった。特にファンというわけでもないが、聖子ちゃんが「裸足の季節」でデビューし、たちまち国民的アイドルになってからをずっと知ってるし、ヒット曲はだいたい口ずさめるわけだし、一度くらい生で聴いてみたいと思っていた。そんな矢先、友人Kが行ってきたよとメールをくれた。昨年の話である。「すごくよかった」というので、来年は一緒に行こうよと軽い約束をしていて、このたび、実現したわけである。
まず驚いたのは、先のセーラー服の一件だ。双眼鏡を覗いている友人が「きれいだな〜」とため息をもらしている隣で、僕もうなずいていた。それにしても、たとえば「青い珊瑚礁」を今も当時のように清純な美少女風に歌えるのだろうか?って、ちょっと興味があった。「あ〜、わたしの恋は〜南の風にのって走るわ〜♪」は、ちょっと無理があるのでは?と思ったからである。
それはさておき、すごいなぁと思ったのは、観客の声援に対して、いちいち耳を傾け、できる限り返答していたことだった。そして、声がかかるたびに「ありがとうございます」を何度も何度も繰り返し、会場とのやりとりでコンサート空間を1つにまとめあげていた。それはまるで、司会者とゲストを一人二役でこなしているようなステージなのである。浮き沈みの激しい芸能界で長く人気を保ち続けるには、何よりもお客様を大切にすること、そのことを熟知していて、しかも嫌みにならないようにさりげなく実行しているんだなと、セーラー服のその内側にプロのしたたかさを見た気がした。
そんな聖子ちゃんのコンサート会場を埋め尽くしていたのが、働き盛りの女性ばかりというのも、ちょっと驚きだった。アイドル時代のファンは男性が大半だったはずだが、今は、聖子ちゃんと同年代以下の女性たちが支持している。男社会の中でも負けないキャリアウーマン、いつまでもキレイで歳をとらない女性、それなのにかわいさを失わない賢い女性…。男性側からみる聖子ちゃんと女性側から見える聖子ちゃんとは、微妙に違っているのかもしれない。どちらからみても輝いてみえる人、その人は今宵、セーラー服を着たスーパースターだった。
さて、曲の方は、新作「Baby’s breath」からの曲とヒット曲を適度にミックスした構成だった。新作は全曲自作、セルフプロデュースという意欲作で、思い入れらっぷりに歌われた。ヒット曲はたくさんあるので、メドレーで歌われたりもしたが、個人的にはじっくり聴きたいものばかりだった。中でも「風立ちぬ」は、好きな歌だったが、文学調の詞の世界がキレイなメロディにのせられて、とても感動できた。 途中で何度も「お色直し」があるのもファンサービスの1つ、そして聖子ちゃん自身も楽しんでいる風でよかった。きらびやかに彩られたステージでたっぷりと熱唱される名曲の数々。そして、ついに「青い珊瑚礁」の登場である。
果たして、「あ〜、わたしの恋は〜南の風にのって走るわ〜♪」は、今でも清純な美少女であった。当時よりずっと歌唱力があって、それでもあの歌の世界はまったく色褪せることなく、僕は、今日来た甲斐があったなと心底思ってしまった。
アンコールは「赤いスイートピー」。これもまた改めて名曲である。歌い終わってからも、まだアンコールの拍手は鳴りやまず、とうとう聖子ちゃんが一人だけでステージに戻ってくるという一幕もあった。そして今度はカラオケで、会場と一緒になって歌うというフィナーレは、おそらく定番のサービスなのだろう。最後の最後まで徹底的にサービスを尽くす、そんなコンサートだった。