セルジオ・メンデスは11月の来日公演が突如キャンセルになり、今回、東京、大阪でのツアーとなった。何度か行ってるからいいのはわかっているが、レジェンドのライブはチケットもお高い!でも、「久しぶりに行ってみっか」とふと思い立ち、行ってみた。ちなみに音楽ライブは、公演日よりかなり前にチケットを買うので、購入時点の「行きたい」気分がライブ当日までにしぼんでしまっていることもなくはない。いざ公演が始まれば、あっという間に高揚してくるけど…(笑)。
 今回も、大して期待もせずという感じではあったが、完全に想像を上回るすばらしい公演だった。リズミカルなパーカッションに美しいボーカル、メロディアスなキーボード、すべての曲が完璧だった。セルジオ・メンデス本人も数曲歌っていたが、全く衰えを感じさせない力強い歌声である。曲名は覚えてないが、1曲を除いてすべてよく知っているものだった(セットリストは、3/8公演を参照したので微妙に違うかも…)。
 僕がセルジオ・メンデスを知ったのは、高校時代である。当時、ヒットチャートを賑わした「Never gonna let you go」が大好きで、アルバム「Sergio Mendes」は何度となく聞き返し、意味はわからないのに口ずさめる超お気に入りアルバムだった。それからブラジル66の頃のアルバムなども聴くようになった。彼のライブは今回で3回目だと思うが、生で「Never gonna let you go」を聴けたのは今回が初めてではないかと思う。キーボード兼サックス奏者である黒人男性とコーラスの美しい女性とのデュエットは、僕の高校時代を、思春期を、青春時代をまざまざと蘇らせた。特定の何かの記憶ではなく、「あの頃」を漠然と思い出し、別に悲しいわけでもないのに、自然と落涙していた。「あの頃」、僕は必死に生きていた。そのことへの自分なりの感動が音楽とともに再生されたのだろうか…。
 それにしても、なぜこの60年代の雰囲気をまとった彼らの音楽がこれほどまでに好きなのだろうと不思議に思う。60年代のファッション、時代の空気が、しっくり馴染む。城山三郎が著作「少しだけ、無理をして生きる」の中で、「いい人間を定義することは難しいが、魅力のない人間は簡単に述べられる」という主旨のことを書いていた。それに似て、嫌いな音楽というかどうにも肌に合わない音楽というのは割とハッキリわかる。僕の場合、1つ挙げるとすればレゲエ。全く受け付けないわけではないが、しっくりこない。大抵の音楽はそれなりに楽しめるので、すごくいいものを見つける方が案外難しい気がする。
 セルジオ・メンデスのライブへ行くたびに、身体の隅々まで音楽で満たされるような感じになる。どの曲を聴いても、そのあまりの美しさにうっとりとした気分になる。生きる喜びに充ち満ちていて、自然と身体が動き出す。あの腰の動き、足さばきの素早さ、複雑なリズム感は自分の中にはないもので到底マネできないが、理解はできる。これこそ、世界一幸せな音楽だ!至福とはこのことだと思う。たった70分間で、僕は完全なる幸福感に酔いしれた。もう75歳になるレジェンドの音楽がもつみずみずしい生命力は驚嘆に値するものだった。そして、老いてく一方の僕たちに一筋の希望をもたらしてくれた。
 会場は年配のファンも少なくなかったが、最後は、みんながスタンディングで踊りまくった!これからは来日する度に必ず行くことにしよう!本当にすばらしいベスト・オブ・ベストのライブだった!セルジオさんは、かなりの親日家らしい。「陽はまた昇る」という日本語歌詞の歌もあった。音楽って、本当にすばらしい!


Set List
01
.Magalenha
02.Pretty World
03.Waters Of March
04.Ela E Carioca
05.Garota De Ipanema
06.Aqua De Beber
07.Bridges
08.メドレー(Consol~Berimbau~Promessa de Pescador)
09.Pecussion Solo
10.Surfboard
11.Never Gonna Let You Go
12.Going Out Of My Head
13.Foll On The Hill
14.Look Of Love
15.Magalenha
encore 1
16.Paris Tropical
17.Tristeza

♪Sergio Mendes BILLBOARD LIVE TOUR 2016
ビルボードライブ東京
2016年3月7日(月)18:35-19:45(1st)/4C-7