
ライブへ行ってから早3か月が過ぎてしまった。できれば公演直後の興奮冷めやらぬうちに感想を記しておきたかったが、全くその時間がとれなかった。ライブ前に観たいくつかの映画についても然り。土日も仕事をするようになってから、早何年だろう。連日10時間机に向っているということもあり、息子からはずいぶん前から社畜呼ばわりされている(苦笑)。息子は記憶にないようだが、彼が小さい頃は、休日は一日中一緒に遊んでいた。まだ、イクメンという言葉がなかった頃、僕は熱心に育児参加し、ワーク・ライフ・バランスを大事にしてきた。幸い、育児が不要になったからこそ、仕事に明け暮れているともいえる。その昔から、やりたいことをやっているだけである。今はただ、納得いく仕事をすることを優先している。しかし、くるりの25周年だから、これは行くしかない!くるりは、デビュー時からのファンなのだ。友人Gが「たぶん、好きだと思うよ」といってNHK公開生放送の無料ライブに誘ってくれたのが最初だった。1曲も知らない彼らのライブを聴いて、僕はファンになった。そして、四半世紀が経ったのだ。
淡々と演奏が続いていた。中盤くらいまで、MCはほとんどなかった。好きな曲が年代順に次々と演奏された。その歌を聴いていた頃の雰囲気に包まれながら、ぼんやりとした様々な感情が浮かんでは消えていった。ふいに涙がこぼれ落ちた。「ロックンロール」だった。この曲の力強いギターリフと、そして、「たった一かけらの勇気があれば ほんとうのやさしさがあれば あなたを思う本当の心があれば 僕はすべてを失えるんだ」という岸田の歌を聴くと、いつも熱いものが込み上げてくる。くるりは、大きな成功を収めたといっていいだろう。ヒット曲の多さ、すなわちセールスの大きさ、メディアへの露出度、それに他バンドからのリスペクト。そういったものが果たしてミュージシャンにとっての成功なのかどうかわからないが、現実的には職業である以上、食べていけなければ、いかに優れた技術やセンスをもっていたとしても、成功したとはいえないような気がする。こういうことを考えるとき、僕は自分についても考えている。自分にとっての成功は何かと。若い頃、自分にとっての人生の目的は、成功することだと思っていた。お金儲けなのか、有名になることなのか、権力をもつことなのか、人それぞれに成功の尺度が違うからこそ、自分にとっての成功が何か、ずっと考え続けてきた。死ぬまで問い続けるつもりでいるが、抽象的にいえば、自分が本心からやりたいと思うことをやることだと思っている。だから、常々、「この人は、何がしたいのだろう?」ということに興味をもつ。体長2cmくらいのカマキリに1万円も出して飼っている知人の話にとても興味を感じる。25年間も同じ車に乗り続けて、40万kmになっても修理しながら乗っている同僚の話に感心する。ミドリムシで世界を救おうとしている人の話に感動する。平穏に暮らしている人々の家を壊し、命を奪い、領土を拡張しようと躍起になっている人の本心を知りたいと思う。
すべての演奏が終わったとき、納得いかないことがあった。年代順にやっていたのに、「東京」がなかったのだ。いつもこのデビュー曲はアンコールで演奏するので、今回もそうなんだろうと思っていたのに、やらずに終演になっていまった。もしかして、聞き逃したかとも思ったが、帰宅してSet
Listを確認したら、やはり「東京」はなかった。25周年記念なのに、彼らを一躍有名にした曲をやらなかったのは何故だったのか。世の中は、わからないことだらけだ。何でも知ろうとすると気が遠くなる。だから、すべてを手に入れようと思うのは、だいぶ前にやめてしまった。真理を知ればそれでよい、と思うようになった。
set list
1. ランチ
2. 虹
3. 窓
4. 惑星づくり
5. ばらの花
6. ワンダーフォーゲル
7. WORLD'S END SUPERNOVA
8. 水中モーター
9. Morning Paper
10. ロックンロール
11. The Veranda
12. ジュビリー
13. アナーキー・イン・ザ・ムジーク
14. さよならリグレット
15. pray
16. 魔法のじゅうたん
17. everybody feels the same
18. o.A.o
19. loveless
20. There in (always light)
21. 琥珀色の街、上海蟹の朝
22. ふたつの世界
23. How Can I Do?
24. ソングライン
25. 心のなかの悪魔
26. 潮風のアリア
♪くるり
~くるり結成25周年記念公演 くるりの25回転~
東京ガーデンシアター
2022年2月11日(金)17:30-20:40/バルコニー1Bブロック6列13番