川崎チネチッタ 2014/6/16mon 19-21
くるり DISCOVERY Q[DISCOVERY QUANTO part2]


 オールスタンディングのライブハウスは、若者らでギッシリ満員だった。女性比率が7割ほどと高いのは、ショッピングや温泉旅行と同じように、女性の方がお出かけ好きなせいではないかという気がする。くるりファンの男性は少なくないだろう。

 くるりの音楽は、デビュー時から独特の味わいがあった。フォークソングのような繊細さが詞や歌声にあるのだが、意外と力強いリフのギターサウンドにも馴染んでしまう。爽やかなロックンロールもあるし、ポップスやテクノ、クラシックなど様々な音楽を吸収しながら変遷していっても、やはり、くるりでしか出せない味が消えない。それは例えば、映画「ジョゼと虎と魚たち」(03)を見てもよくわかる。田辺聖子原作の不思議な素材が犬童一心監督の演出で独特の色がつき、くるりの音楽が味付けをして、印象に残る作品に仕上がっている。

 くるりは不思議なバンドで、グループ名に似てメンバーがくるくる変わる。リードボーカル・ギター・作詞・作曲の岸田繁とベースの佐藤征史は不変だが、ドラマーは2回変わっていて今はいない。前作の「坩堝の電圧」(2012)で新メンバーに加わった吉田省念(gui)とファンファン(tp)のうち吉田省念はもういなくなっていたので、ギターも2人変わったことになる。音楽的なこだわりのせいだと思うが、本当によく変わる。ということで現行くるりは、岸田、佐藤、ファンファンである。ライブでは、女性のサポートドラマーと若い男性のサポートギターが加わっての5人編成だった。

 新譜発売に合わせてツアーが始まるということがよくあるが、今回のライブはそうではなかった。「新譜はこれから出ます!」という話があったので、それはそれで楽しみだが、古い曲をたくさん聴くには、却ってこういうライブの方がいい。今回のライブでは、新曲を2曲やった他はすべてお馴染みの曲だった。「バラの花」「ロックンロール」「花の水鉄砲」「ブレーメン」「お祭りわっしょい」など。ライブは生ものなので、出来の良し悪し、自分のノリの良し悪しがうまく噛み合ってこそ楽しめるものだが、これまでくるりのライブでは一度もハズレがなく、今回もそれは踏襲された。

 京都弁のせいだろうか、岸田君のMCはどこかとぼけた感じでほのぼのしている。MCも面白いし堂に入っているのだが、決してベテランずらすることなく、いい意味で青臭くさがなくならない。早口言葉とパンツの話から始まった「はっつきパンツ、ひっつきパンツ、くっつきパンツ、むかつきパンツ」でも会場は大盛り上がりだった。本編のラストは、定番の「東京」。この歌でくるりは始まり、数多くの名曲を生み出しつつ、常に原点に還ってくる。この姿勢は、同じ職業人として見習いたいといつも思う。

 たったひとかけらの勇気があれば
 ほんとうのやさしさがあれば
 あなたを思う本当の心があれば
 僕はすべてを失えるんだ

「ロックンロール」の一節に、いつも心が震えてしまう。名曲だと思う。