QURULI
ふれあいコンサート
NKHホール 20070719
先月、くるりの7枚目のアルバム「ワルツを踊れ」が発売された。ライブが近づいてたので、すぐに購入して、聴いてみた。
「え、何これ?」っていうのが、第一印象。どちらかというと期待はずれ、と思えた。くるりはメンバーチェンジが激しい。96年、岸田繁(v/g)、佐藤征史(b)、森信行(d)の3人により結成され、98年にファーストシングル「東京」を発表。01年に大村達身(g)が加入するが、翌02年には森信行(d)が脱退。サポートドラマーをはさんで、03年にクリストファー・マグワイア(d)が加わり5thアルバム「アンテナ」を残すが、04年に脱退。そして今年1月、大村達身(g)も脱退してしまった。だから「ワルツを踊れ」に、大村達身のギターはない。C.マグワイアのドラムも達身のギターもとても好きだったので、すごく残念だった。なんで脱退しちゃったんだろうか?オーストリア(ウィーン)で録音された今作は、クラシック音楽の影響を色濃く受けているそうだ。モーツアルトの国で生まれた「ワルツを踊れ」。聴くうちに印象はどんどん変わって、聴くほどに魅力を増していった。そこにはやっぱりくるりの音楽があって、そして新しいくるりもあった。
19時過ぎ、開演。ニューアルバムの「恋人の時計」が1曲目だった。はじまると、たちまち僕は不思議な安堵感に包まれていった。デビュー当時から岸田くんの声が気に入っていたが、彼の低い声がホールに響き渡ると、つくづく、くるりが好きなんだなと思えた。やはり「好きだ!」は、理屈じゃないんだと思えた。
前半は、「ワルツを踊れ」からの曲が続いたが、初めて聞いた頃の違和感はなくなっていて、「やっぱ、くるりはいいな〜」という気分だった。佐藤くんのベースも心地いいし、何よりも岸田くんの声とハイトーンなコーラスは、くるりサウンドならではである。今回はサスペンダーズという3人組のコーラス隊が加わり、すごくいい雰囲気を醸し出していた。
それにしても遠い席だった。NHKホール3階席の最後列。ステージは遙か彼方である。さすがに立ち上がる客もなく、ステージ上の人たちを遠くから見守るという感じになっていた。しかし、音楽は、しっかり届いてきた。この日の岸田くんは、あまりしゃべらなかった。佐藤くんがグッズ紹介をして、あとは岸田くんがときどき、ポツポツとしゃべっていた。メンバー脱退のことやウィーン録音の話が少しは聞けるのかと思ったが、何も語られなかった。音楽を聴いてくれればいいということなのだろう。ニューアルバム以外の曲は、意外に少なかった。「バラの花」、「ワンダーフォーゲル」、そして「ロックンロール」が後半に演奏されると、やはり会場は盛り上がった!ただ、「ロックンロール」は、ちょっと物足りなかった。達身のギターがないせいだと思うが、ギターのアレンジを変えてあった。こればっかりは、達身のギターじゃないとという気分になった。
アンコールは、「東京」のみ。大いに盛り上がる。やはり、「東京」好きなファンが多いようだった。でも、今日の「東京」も自分にはやや物足りないものだった。デビュー当時の「東京」は、上京してきた岸田くんが東京に来て感じていたさまざまな思いをすごくストレートに歌っていた。故郷にいる彼女への思いを交錯させながら、歌の後半は張り裂けそうになる心を振り絞るように歌っていて感動したが、今日は、落ち着いた「東京」だったように聞こえた。
考えてみると、くるりには、アルバムを出すたびにちょっとだけ期待を裏切られ、そして結果的にその新しい音を好きになってしまうという繰り返しだった。ライブを聴くと、これはくるりの音だな〜とつくづく思う。音楽に対する姿勢は真剣そのもので一切の妥協は許されないらしい。それが数々のメンバー脱退ということになっているのだが、その結果生まれた音楽がいつもすばらしく、そしてやっぱりくるりなので、僕は安堵する。また次のライブにも来たくなった。