Quincy Jones

THE 80th Celebration Live in JAPAN

東京国際フォーラム
2013年8月1日(木)19:05〜23:15
S席1階41列4番


 
クインシー・ジョーンズの80歳のお祝いを兼ねたライブで、とにかく長かった!前半は、日本のアーチストによるトリビュートパートになっていて、以下のそうそうたるメンバーが出演。ライブのプロデューサーは、亀田誠治氏。椎名林檎やスピッツ、平井堅など数々のアーチストをプロデュースしていて、今ライブではベースも弾いている。司会はクリス・ペプラー。中高年で埋め尽くされた会場は、音楽の祭典、まさにお祭りの雰囲気だった。

■トリビュート・パートの出演者は、亀田誠治、絢香、小曽根真、小野リサ、K、ゴスペラーズ、BoA、三浦大知、VERBAL、JUJU、MIYAVI、沖仁、上妻宏光。さらにバンドメンバーとして、村田陽一(tb)や三沢またろう(perc)、斎藤有太(pf)ほか多数参加。

 基本的にはクインシーに縁のある選曲である。ステージに向かって左にクインシーが鎮座していて、彼の目の前で歌い、演奏するわけだから、緊張もするし、感激もひとしおに違いない。誰が何を歌ったか覚えきれないが、先月、同じ東京国際フォーラムでのチケットを取っておきながらすっかり行くのを忘れてしまって涙を飲んだ小野リサは「One note samba」を美しい歌声で歌った。JUJUはヘレン・メリルのカバーで「You'd be so nice to come home to」を歌い、スラップ奏法で世界的な注目を浴びているMIYAVI(gui)と津軽三味線の上妻宏光の共演は、少し前にNHKで見ていたが、生はさらに迫力があって格好良かった。映画「オースティン・パワーズ」のテーマ曲としてもお馴染みの「soul bossa nova」のフレーズを間奏に使っている人もいたし、マイケル・ジャクソンの曲は、BoAが「Beat it」、絢香が「Human nature」を歌った。個人的にそれほどマイケルのファンではなかったが、こうして聴くと、カバーでさえ際立ったものがあって、もしマイケル本人がこのステージにいたら相当なインパクトを受けただろうと思えた。ジャズ・ピアニストの小曽根真は、前日のライブの後、夜中の2時までクインシーと音楽談義で盛り上がっていたそうだ。小曽根氏は、その昔クインシーのバンドメンバーに誘われたことがあって、それを断った経緯もあると語っていた。それにしても、連日ライブの最中である。80歳とは思えぬ体力、それに音楽に対する情熱には恐れ入るほかない。

 さて、後半のクインシーパートが始まったときには、すでに9時を回っていた。これまでに数え切れないほど多くのヒット曲があるのだから、そういったベストヒット的な選曲かと思いきや、次々と出てくるのは、今、まさにクインシーがプロデュースしているミュージシャンだった。例えば、エミリー・ベアーは、12歳の女の子である!5歳でデビューし、6歳の時にはブッシュ大統領の前で演奏した経歴の持ち主だ。ブラッシュは、女性5人組のアジアン・ダンス・ミュージックで、まるでKARAみたいだった。というわけで、知ってる曲というのがほとんどなく、少々退屈な面もないわけではなかったが、パティー・オースティン、ジェームス・イングラムが登場すると、会場もひときわ大きな拍手で湧き上がった。最大のヒット「愛のコリーダ」やデュエット曲「Baby,come to me」を生で聴けるとは、80年代ポップスを愛聴していた身としては、とても感慨深いものがあった。そして、サイーダ・ギャレットは自身が作曲しマイケルに提供した「Man in the mirror」を熱唱し、会場の盛り上がりもピークに達した。クインシーはというと、ビッグバンドの指揮をしたり、演者の紹介をしたりで出ずっぱりだった。お話好きでジョークも連発。演奏が終わって拍手が湧き上がると、日本語で「ドーモドーモドーモ」とご機嫌だった。レイ・チャールズに出会って音楽の世界に入ったクインシーは、グラミー賞に27回輝くなど偉大な功績を残し、今なお現役で音楽シーンの最前線で活躍している。ステージに見るその人柄は、半端じゃない情熱家で、また人を魅了し、人を受け入れる果てしなく大きな器をもった人物に見えた。やっぱり、そういうもんなんだと、妙に納得した。それを知るために、このお祝いライブに来たという気がする。さて、パティー・オースティンのステージだが、サプライズ・ゲストで松田聖子が登場し、会場に悲鳴にも似た歓声が上がった。クインシーとは旧知の仲らしいが、彼女もまた目映いほどのオーラを放っていた。総勢で何人になるだろう。最後は全員で「We are the world」だった。すっかり忘れていたが、これもクインシーのプロデュースである。アフリカの貧困を救うためのチャリティとして歌われ、1985年の世界的ヒットを記録したこの歌は、クインシーの生き方を反映しているようにも感じられる。8月3日には、「ピース・アーチ・ひろしま」というイベントにも参加したようである。音楽に国境はないというが、それをこれほどの規模と長期に渡って実践した人は、もしかしたらクインシー・ジョーンズだけかもしれない。米音楽界の神的な存在ではあるが、確かに畏敬の念を感じずにはいられなかった。帰りは終電。危ういところだったが、そういうことが気にならないくらいスケール感のある夜の祭典だった。

■クインシーパートの出演者は、パティ・オースティン、ジェームス・イングラム、サイーダ・ギャレット、アルフレッド・ロドリゲス、ニッキー・ヤノフスキー、アンドレアス・ヴァラディ、エミリー・ベアー、ジャスティン・コフリン、ブラッシュとビッグバンドのメンバーが多数である。