日比谷野外音楽堂
「Time for action」
20110514/18:00 C16-37
日比谷野外音楽堂。「場」がもつ雰囲気というのは、特にこういう屋外の方がより強く人間の五感(四感かな?)に作用する、と久々に実感。弧を描く客席は古代ギリシャ劇場のようだし、木々に囲まれた真ん中に広がる空は、ここが都心であるがゆえに効果的なのだろう。この1ヶ月ほど土日も連休もなく「働く男」になっていたので、石のベンチでありながら座り心地は抜群によかった。パフィー15周年記念ツアーは、この日が千秋楽。ツアータイトルは「Thank
You!」だったが、震災後に変更され、「Time for action」になった。震災直後、大抵のイベントは延期か中止になっていたが、少し落ちついてくると、むしろ敢えてやる、或いは氷室京介さんのように震災支援のためにコンサートを企画するという動きがあちこちで広がってきた。いいことだなと思う。転んでも立ち上がらないと。大変だけど…。
10周年ライブのときは、同じ野外音楽堂は大雨だったそうだ。「全員、てるてる坊主を吊っといてね!」とパフィーからコメントが発表されていたが、何の心配もない晴天の天気予報だった。なのに、だのに、夕方には局所的なにわか雨。日比谷界隈は、雨に濡れていた。すぐに止んだようだが、時折、ポツポツと大粒の雨を降らす雨雲にヒヤヒヤしながらの開幕である。1曲目は、「アジアの純真」。民生がユニコーン時代に作った「ヒゲとボイン」の作風が投影されたポップソングと陽水さんの意味不明ではあるが耳に残る歌詞が化学反応を起こして不思議なパワーをもった歌である。このあと、立て続けにヒットソングが続き、15年である。「まさかね。15年も続くとはねと私たちも思ってるし、きっと会場の人たちもね、4発屋くらいではないかと思ってたでしょうね。」と、いつもの「毒」を含んだMCが可笑しい。ちなみに4発とは、ミリオンヒットとなった「アジアの純真」「これが私の生きる道」「サーキットの娘」「渚にまつわるエトセトラ」を指すのだろう。ミリオン4連発自体、ものすごいことではある。大ヒットはなくなったとはいえ、パフィーの名付け親であるアンディ・スターマーやアヴリル・ラヴィーンなど海外からも楽曲提供があり、ずっといい曲を歌い続けている。
バンド・メンバーは、3月に発売されたニューアルバム「THANK YOU!」と同じである。バンマスは、鬼軍曹と呼ばれているらしい木下裕晴(b)、ギターは二人いて、中重雄(g)とフジタユウスケ(g)、渡辺シュンスケ(k)、そしてユニコーン元リーダーの川西幸一(d)とパフィーの計7名。また、ゲストとしてスチャダラパーの出演もあった。「Wake
up,Make up」という曲で彼らが参加しているからで、この1曲のために来てくれたのも嬉しい。なかなか圧巻だったのが、「カニ食べ行こう2011」。これは民生の「人ばっか」のパフィー版といえる。歌詞のつながりを活かした究極のメドレー。数えてなかったが、10〜15曲くらいは使われていたのではないか。いいところで曲が変わってしまうので、やや欲求不満にもなるのだが、1曲で何曲分も楽しめる超贅沢なメドレーである。演奏力の裏打ちがなければ到底できない芸当だろう。終盤になると、ノリのいい曲がかためて続いた。個人的にはフジタユウスケ(曲)、亜美(詞)の「欲望」、そしてアンディ・スターマー作曲の「赤いブランコ」のつなぎが最高だった。どちらもギターリフが格好良く、歌詞もよいのだ。「過去 今 未来 愛 ひとは素晴らしく 日々よくばる がんばる あきらめる また 欲しがる」。まさに、人間は「欲望」の塊である。振付の南流石さんも途中出場し、楽しい踊りを熱く披露していた。彼女の振付がパフィーの「ゆるキャラ」を印象づけた功績は大きく、極端にいえば、バブル後に隆盛した過剰な競争や向上心といったものに一石を投じた感がある。英才教育やお受験で「勝ち組」ルートに乗っておかないと定職にもつけないという風潮の中で、肩の力を抜きつつ、しかし、自分の道は行くぞという「これが私の生きる道」に込められたスタイルは、今なお新たなファンを掴みつづけていると思える。もっともっと聴きたい歌があったが、それは次回のお楽しみにしましょう。。