PUFFY LIVE 2007
Hits & Fans
2007/06/21
YOKOHAMA BLITZ
パフィーのライブを見るのは2度目。といっても1度目は、デビューしたてで、奥田民生のライブにちょっと出て「アジアの純真」を歌ったときだった。まだ売り出し中で、プロデューサーの民生を師匠と呼びながら、初々しい雰囲気を漂わせていたという印象が残っている。井上陽水の摩訶不思議な歌詞と、民生の親しみやすいメロディーで「アジアの純真」は、大ヒットを記録した。その後も「これが私の生きる道」や「渚にまつわるエトセトラ」などヒットが続き、すっかり国民的なアイドルとして定着したのだった。そして、昨年がデビュー10周年である。今年2月に発表されたベスト・アルバム「Hits
& Fans」はファン投票によって選曲されたもので、いかにもパフィーらしい名曲揃いである。
今回のライブは、10年間の軌跡をたどるようなベスト・ライブである。確かアルバムと同じで、1曲目は「Tokyo I'm On My Way」だったと思うが、10年ぶりに見て、正直、衝撃を受けた。すごい迫力なのだ!もちろん演奏は、ドラムの古田たかし(し〜たかさん)をはじめ、そうそうたるメンバーがやってるから間違いなくいいのだが、パフィーの二人の歌唱力も10年前とは格段の違い。まったくスピードを緩めることなく、ずっと終わりまでハイテンションのままというエネルギッシュなライブだった。
歌や演奏と対照的なのがMCだった。
あまりパフィーのテレビ番組を見たことがないのでよく知らなかったが、しゃべりはもっぱら吉村由美の担当で、大貫亜美はしゃべるの嫌いだと言ってた。ふたりともトークで盛りあげるタイプでもなさそうだったが、そこはプロのサービス精神だろうか、MCの時間も多くとって、なんだかんだすっごく盛り上げていた。それでも序盤のうちは、「今日は調子がでないよ、どうしよう〜」と由美が半泣きになってたのだったが、中盤以降、どんどん調子を上げていったのは、さすがだった。あきらめずに頑張るその姿勢に、ちょっと感動した。
僕の場合は、民生がプロデュースするというのでパフィーを聴きはじめたが、そのうち、民生は徐々に手を引いて、パフィーは独り立ちしていったようだ。楽曲もスピッツの草野正宗やハイローズの甲本ヒロトなど幅広く集め、中でも民生との共作で人気のあるアンディー・スターマーがかなりの曲を提供するようになっていった。今回のライブでも演奏された「赤いブランコ」もアンディー・スターマーの曲だが、しみじみ感動してちょっと涙が出た。バラードじゃないのだが、琴線に触れるメロディと詞が噛み合った瞬間にホロリとしてしまう、そんな歌なのだ。
パフィーは、2004年から全米のアニメチャンネル「カートゥーン・ネットワーク」で「Hi
Hi Puffy AmiYumi」が放送され、なんと第1回目の放送から開局以来の最高視聴率を記録して話題騒然となった。2005年にはアメリカの西海岸でツアーを成功させ、今年は東海岸でツアーが行われるなど、人気は続いているらしい。
何をもって成功とするのか、それはいろいろなモノサシがあるだろうから一概にいえないけれど、少なくともパフィーは成功したといっていいだろう。たくさんの歌でたくさんの人を感動させ、勇気も元気も夢も与えてくれたのだから。
パフィーが生まれたとき、日本は小室哲哉の音楽でいっぱいだった。民生は、小室ブームに対抗してパフィーを作ったともいわれているが、民生本人は、「小室さんがいてくれて、僕は感謝している」というようなことをインタビューで語っていた。流行はいずれ廃るときがくる。民生はいつもそういうことを意識してる人だと思う。だから、大ヒットはしなくていいというようなことも、たびたび語っていた。10年が過ぎて今のパフィーをみれば、民生の戦略は当たったといえるだろう。しかし、誰でもできることではないに違いない。
僕個人は、そういう民生のやり方にずっと興味をもっている。ビートルズのように誰でも親しめるような普遍的なメロディを取り入れながら、一方で他にはない民生独自のフレーズや独特の詞の世界を組み込んでオリジナリティをもたせている。両極端にあるもの、たとえば黒と白を混ぜて灰色にするのではなく、黒白のシマシマのままにしているような感じもする。そして、民生は常に何か新しいことへの挑戦を続けて、マンネリ化を予防している風に見える。
今宵、パフィーのライブは、予想以上によかった。そして、ふと、10年前のまだ駆け出しのパフィーを思い出し、その産みの親である民生の才能について、改めて脱帽してしまったのだった。