THE POLICE live in concert
TOKYODOME
20080213
 ポリスを初めて聴いたのは、「マジック(Every little thing she does is magic)」(81)だったと思う。「変な歌」ってのが第一印象だった。当時,、中学生だった僕は、歌謡曲とかフォークソングを聴いていて、洋楽はまだ聴きかじりという程度だった。ホール&オーツとかビリー・ジョエルは好きだったが、ポリスはちょっと、という感じがあった。たとえば、アンディ・サマーのギターは、普通のロックと明らかに違ってたし、スチュアート・コープランドのドラムも単純な8ビートと違って複雑なリズムを叩いていた。そして、ポリスの顔であるボーカル兼ベースのスティングに至っては、声も甲高くて独特だったし、歌い方もちょっと取っつきにくい感じがあった。レゲエやジャズの影響を受けたポリスの音楽性が自分にはまだ消化しきれなかったんだろうと思う。しかし、ポリスは売れていた。次に聴いたのは、年代を遡るが、「ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ(DE DO DO DO,DE DA DA DA)」(80)だったと思う。これなんかタイトルからして、意味不明である。サビの部分が「♪ドゥドゥドゥ・デ・ダダダ」なんだけど、全然かっこよくないと思ったものだ。そんなポリスへの見方が180度変わってしまったのは、「見つめていたい(EVERYBREATH YOU TAKE」)」(83)の登場でだった。世界的に大ヒットし、その後数多くカバーされている不朽の名曲である。王道をいくコード進行(だと思う)は、聴いた瞬間から口ずさめるくらい印象に残る。当時流行り始めていたMTVでみたプロモーション・ビデオは、モノクロの渋い作りで、やたらとかっこいいものだった。あの取っつきにくさはどこにもなく、ポリスの音楽世界にぐっと入り込んでしまった瞬間だった。シングルに続いて発表されたアルバム「シンクロニシティ(SYNCHRONICITY)」(83)もまた、非常に完成度の高いもので、事実、米ビルボード・アルバムチャートで17週連続で1位を独走したのだった。これを機に、ポリスの古いアルバムを聴くようにもなった。変な歌だと思っていた「マジック」も改めて聴くと、すごくかっこよかったし、その頃になるとかなり洋楽を聴いていたので、他のロックと一線を画すポリスのオリジナリティは、逆に新鮮に思えた。ポリスは、しかし、このアルバムの大成功を最期に、解散してしまうのだが…。
 ポリス解散後は、ソロに転向したスティングを聴くようになった。スティングは本来のジャズ志向を取り戻し、さらに独自の音楽世界を開拓していったように思う。映画「デューン/砂の惑星」に出演したり、アフリカの飢饉に対するチャリティ・プロジェクト、バンドエイドへの参加や自然保護活動、人権擁護運動など、社会的活動にも積極的になっていった。「サハラ砂漠でお茶を」や「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」などスティングならではの音楽世界はとてもかっこいいし、なんといっても、歳をとるほどに魅力を増していく姿が、人間の生き様としてすごく理想的と思える。肩の力の抜けた自然体の「静」と、躍動的でエネルギッシュな「動」lを自由自在にコントロールできているようで、僕にとっては海の向こう側にいる永遠の憧れである。
 そんなポリスが昨今のバンド復活ブームの中、結成30周年を記念して再結成されるというニュースが2007年2月に発表され、5月からワールドツアーが始まっていた。「いつ来日するんだろう?」とずっと待ち望み、それが遂に実現したのだ!東京ドームは僕と同じような気持ちでこの日を待ち望んでいたファンで一杯だった。18時半から、前座のフィクション・プレインという全く知らないバンドが30分ちょっと演奏をした。初期のU2をちょっとだけ思い出すような雰囲気があって、ボーカル兼ベースとギターとドラムというポリスと同じバンド編成だった。あとで知ったが、ボーカルのジョー・サムナーはスティングの息子であった。なるほど、である。
 さて、19時半、いよいよポリスの登場である。さすがに東京ドーム3階席からみるとステージ上の3人はとっても小さかったが、大型スクリーンがあったので、双眼鏡は不要だった。1曲目は「孤独のメッセージ(Message in a bottle」)。う〜ん、さすがかっこいい。改めて聴くと、やはり曲の線がしっかりしていて骨太である。それにオリジナリティが強烈で、こんな歌は、やはりポリスでしか作ってないと思える。やはり、一人ひとりがすごいんだなとも思った。アンディー・サマーのギターは、本当に不思議である。基本的に効果音みたいなギター、と聴いてて思った。そして、その分、歌心があるのがスチュアート・コープランドのドラムだろう。この人のドラムは本当に好きだ。ドラミングのタイミングが本当に独特で、いつも調子を狂わされてしまうが、それが気持ちいいのだ。「King of pain」などいくつかの曲では、いろんなパーカッションを駆使していたが、これがまた格別の音世界で、とてもよかった。スティングは相変わらず立ってる姿からかっこよかったが、曲のノリがいいのは、スティングのベースのリズムによるのだろうと思いながら聴いていた。歌は、原曲とはちょっと違えて歌ってるものも多く、それだけはちょっと不満だった。できるだけ原曲のメロディラインで聴きたかった。しかし、3人3様で誰一人欠けてもポリスにはならないというのが、このバンドのすごさだと思う。アンコールがあって、最後の曲が「見つめていたい(EVERY BREATH YOU TAKE)]だった。ずっと聴いていたいくらい、いい時間だった。これで終わり、と思ったら、アンディ・サマーだけがステージに残っていた。で、何かギターで弾き始めた。曲名は知らなかったが、かなりアップテンポな曲である。すると、再び、スティングとコープランドがステージ上に現れ、この曲が本当の最後となった。やはり、とてもいいライブだった。音楽もよかったが、もう50代も半ばを過ぎたスティング(56)やコープランド(55)、サマー(65)がこうして元気に楽しそうに音楽(彼らにとっては仕事)をしているのをみて、なんだかすごく愉快な気分になった。人生は、まだまだきっと愉しいことがある、そんな風に思える夜だった。