♪PIZZICATO ONE
billboard LIVE TOKYO
2015年9月22日(火)19:35-21:00 / 5C-5


 ピチカート・ファイヴが解散したのは、2001年3月。同年1月にリリースした「さ・え・らジャポン」の出来がすばらしかったから、というのが解散理由だった。「いつか辞めるのであれば、最高の状態で」と聞いて、「そんなぁ」と多くのファンが惜しんだのだった。解散後、小西さんは、プロデュースやらDJやらで音楽に携わっているが、解散10年目にピチカート・ワンという名義で「11のとても悲しい歌」を作った。英語のカバー集で、ピチカートとついているが、実質、小西康陽のソロ・プロジェクトである。タイトルどおり、悲しげで地味な印象だった。それから4年、ピチカート・ファイヴのデビュー30周年の今年6月(色々な節目があるものだ!)に「わたくしの二十世紀」がリリースされた。ビルボード・ライブ東京からコンサートのオファーがあり、「折角なのでアルバムを作ろう!」となったようだ。今作は、ピチカート・ファイヴのセルフ・カバーを中心にした内容になっていて、小西さんお気に入りのボーカリストが大集結している。やはり名曲揃いである。しかし、これもまた悲しげな選曲&アレンジではある。「何にもこの世には いいことなんてなかった あなたと会ったこと たったそれだけ」、「小さな電球がふいに切れた そんなふうに恋は消えた」、「ぼくの何もかもが嫌になった日曜日」「もしもゆうべ観た夢が本当になるのなら ぼくはたぶんもうすぐ死ぬのかもね」といった歌詞は儚げで、寂しい。小西さんが選んだ11人のボーカリストは、UAだったりYOUだったり小泉今日子だったりと個性豊かな面々であるが、もし、声に温度があるとしたら、全体にやや低温である。野宮真貴さんが歌うからピチカート・ファイヴなんだなと、改めて思う。カーラジオでたまたま野宮さんの歌声を聴いてピチカート・ファイヴのファンになった僕は、「やっぱり、野宮真貴じゃないとなぁ」となってしまうのである。

 2ndステージ、客席はほぼ満席。若い人は少ない印象(薄暗いし、上からだとよく見えない)。主役の小西さんがいないステージでピチカート・ワンのライブが始まった(笑)。甲田益也子、おおたえみり、と1曲ごとに全く雰囲気の違うボーカルというのも不思議な感じである。小西さんが出てきたのは3曲目だったか。古い知り合いに会ったような懐かしさがあった。DJをやっているくらいだからMCはこなれているのだが、小西さんの場合は流暢だったり饒舌だったりではなく、自分でしゃべって自分で可笑しがるような不思議な語り口が相変わらずで面白かった!基本的にアルバムで歌っていた人が歌うので、出演できない人の歌はやらなかった。小泉今日子やYOUやUAが1曲だけ歌いに来たら、すごく贅沢感があったのだが…。小西さんのベースを聴きたかったが、それはなかった。バンマスの河上さんが小西さんが敬愛するもの凄いベーシストらしく、たぶん、そのせいだろう。代わりに「かなしいうわさ」をデュエットしたり、「ゴンドラの歌」を歌ってくれた。パリスマッチのミズノマリさんもアルバムと同じ2曲を歌った。とてもいいのだけど、やはりミズノマリさんにはパリスマッチの歌が合っていて、小西さんの歌には野宮さんの声が合っているような気がした。最初に見たものを親と思う鳥と同じように、一種の刷り込み反応なのかもしれないが…。アンコールの2曲は、小西さん自らが歌った。ラストは「子供たちの子供たちの子供たちへ」のピアノ弾き語り。作曲もこうしてピアノを弾きながら、歌いながら作っているという。ただ、歌はハッキリ歌うのではなく、口の中でモゴモゴ言っているだけ。でも、頭の中ではしっかりと歌っているのだそうだ。こんな風な話を聞くのは本当に楽しい。きっと、本人にとってはありきたりな何でもないことなのだろうけど、ファンにとっては、すごく気になるところ。自分では何とも思ってないところに惹かれ合う恋人たちのように…。

バンドメンバー
河上修(bass、guitar)/江草啓太(piano、keyboard)/有泉一(dram)/斉藤葉(harp)/笠原あやの(cello)。

Set List
01 フラワー・ドラム・ソング(vo:甲田益也子)
02. 私が死んでも(vo:おおたえみり)
03. 恋のテレビジョン・エイジ(vo:西寺郷太&enaha)
04. 12月24日(vo:ミズノマリ)
05. 東京の街に雪が降る日、ふたりの恋は終わった(vo:ミズノマリ)
06. 日曜日(vo:西寺郷太)
07. きみになりたい(vo:吉川智子)
08. 昨日のつづき(vo:吉川智子)
09. かなしいうわさ(vo:吉川智子&小西康陽)
10. ゴンドラの歌(vo:小西康陽)
11. マジック・カーペット・ライド(vo:西寺郷太&enaha)
12. 美しい星(vo:甲田益也子)
encore
13. また恋におちてしまった(vo:小西康陽)
14. 子供たちの子供たちの子供たちへ(vo:小西康陽)