翌27日、関東は梅雨明けした。今月6日の梅雨入りからわずか3週間、観測史上最速、最短の梅雨明けとなった。梅雨明け前日もすでに真夏のような太陽が照りつけ、夕刻にもかかわらず猛烈な暑さだった。いくつかのイベントが重なっていたようで、東京ドームシティ内は人、人、人の海と化し、異様な熱気に包まれていた。個人的には初めてとなるフィロソフィーのダンスのライブ。巨大な東京ドームで迷子になりながら入場手続きをしていると、最後のところで、「このチケットは違いますよ」と言われて慌てた。よく見れば、TOKYO DOME CITY HALLとあるので、会場はドームとは別にあった。ちなみにドームでは、Aqoursという架空の9人組女性アイドルのコンサートが予定されていた。演じているのは声優さんらしく、アニメとのメディアミックス・イベントらしい。相当な動員力だった。人並みをかいくぐってなんとか会場に着くと、今度は、入場時にgoogleの確認メール表示を求められて焦った(汗;)。若者たちは常にスマホを片手にもち、まるで身体の一部のように使いこなしているが、僕は必要な時に使うだけなので、不慣れな手続きを求められて冷や汗が出た。今回はドリンク代別というライブハウスでよくあるパターンになっていて、500円で1ドリンクと引き換えた。アルコール類がなかったのは、騒いでしまうからという配慮だろうか。座席は、一番後ろの方だったが、ほぼ真正面なのでとても見やすい場所だった。先にいた隣席の人の前を通る際に「すみません」とか何か言ったと思うが、それに対して「今日は、よろしくお願いします」というような返事があって、ドキッとした。かれこれ数十回はライブに行っていると思うが、そういうリアクションは初めてだった。確かに、ライブへ足を運ぶ目的の1つは、その会場に来ているファンたちとの一体感を味わうこともある。とはいえ知らない人に声をかけることは滅多にない。大抵は友達同士で来ていることが多いし、1人かどうかもよくわからない。今回の場合は、隣が端の席だったので、たぶん1人というのがわかった。「よろしく」と言われて黙っているのも悪いような気がして、声をかけてみた。「このツアー、何回か来てるんですか?」みたいなことだったと思う。相手が簡単に答えられる質問をする。無意識だが、定石通りである(笑)。案外、警戒されることもなく、会話が続いた、と思う。ここが難しいところで、あからさまに嫌な顔をする人なんていないから、勝手に自分だけ楽しかっただけかもしれない。マスクしているからよくわからないが、まだ二十代にみえる彼女は、群馬から来たという。しかも、今回のツアーは、新潟、金沢に続く3回目だという。この後も行くのか訊いてみたら、今日がファイナルだと教えてくれた。バンド演奏は東京と大阪だけらしく、「今日が初めてなんて、とってもラッキーですよ!」とのことだった。彼女は「おとは」のファンだと言っていたが、すでに11月に卒業が決まっているので、残念と言っていた。開演が10分ほど遅れたこともあり、ラジオ番組でフィロのスを知ったことやハルのファンであることなど、思いつくまま話しているうちに楽しく時が過ぎた。
 一応、全アルバムを持っているので、知っている曲ばかりだった。ラジオ番組をやっていただけあって、MCは上手だった。声もキャラも4人4様というのがフィロのスのよさである。メンバーごとにイメージカラーがあるらしく、ファンはそれぞれ推しの色のペンライトを持っていた。ちなみにハルのイメージカラーは赤だった。人気の度合いがハッキリするから、なんとも残酷な商売である。幸い、適度にばらけているようだったが。
 フィロのスは、2016年の「FUNKY BUT CHIC」から3枚のアルバムをリリースして、メジャーデビュー後の今年4月に「愛の哲学」を発表している。驚きだったのは、前3作の大部分を作曲していた宮野弦士が1曲も書いてなかったことだった。当然のことながら、曲の雰囲気が明らかに違っていて、すぐには馴染めなかった。今、この文章を書くために調べてわかったことは、宮野本人の希望により、2020年1月をもってフィロのスのプロジェクトから完全に離れることにしたそうである。理由を一言でいえば、フィロのスの仕事が増えすぎて、他の仕事ができない、もっと音楽の幅を広げたい、挑戦したいということのようである。曲数を減らして続けることは、中途半端になるからできないという趣旨のコメントもされていた。僕自身も彼の曲が好きだったのでとても残念だが、「愛の哲学」も聞き慣れるうちによくなって、メジャーならではの質の高さも感じているので、前向きに受け止められるようになってきている。
 ライブでは、MCが多かった。バンドメンバーにも容赦なく質問攻めにしていた。一人ずつ話す場面も多かったが、みんな上手だった。11月で卒業が決まっている十束おとはからは、卒業ライブを11月19日に日比谷野外音楽堂で行うことが発表された。アニメ声のおとはは、最初、とても違和感を感じていたが、今となっては、強烈なアクセントになっていて、とりわけソウルフルな日向ハルとの幅がフィロのス最大の魅力と思っていたので、とても残念ではある。折角、メジャーデビューできたのにと思うが、だいぶ前から決めていたことらしい。歌と踊りをこなすのがキツすぎというのが理由のようだが、ぜひ、卒業後も何かで活躍してほしいと思う。最後は、一番好きな「ライブ・ライフ」だった。宮野が作った楽曲の中でもずば抜けて完成度の高い名曲だと思う。最高の盛り上がりの中で終わり、アンコールの「ベストフォー」で終演となった。
 「いいライブでしたね。今日はありがとうございました。」と隣席の女性に挨拶したところ、「twitterやってますか?」と言われ、咄嗟にやってないんですよと答えてしまった。一応、アカウントはもっているのだが、実際、全く使っていない。LINEは個人名を使っているし、こういう対応に不慣れなので、またしても冷や汗をかいてしまった。彼女は、ライブで声をかけられたのが初めてだったので嬉しかったのだそうだ。「ぜひ、11月の日比谷野外音楽堂で見かけたら、声をかけてください!」と言っていた。まるで学生時代のようだなと懐かしい気持ちを思い出しながら、ライブの余韻に酔いつつ家路についた。

set list
1. サンフラワー
2. ロック★with you
3. ダンス・オア・ダンス
4. エポケーチャンス~バイタル・テンプテーション
5. テレフォニズム
6. 気分上々↑↑
7. 誓い合ったんだってね、LOVE
8. FUNKY BUT CHIC
9. アイドル・フィロソフィー
10. シスター
11. ジャスト・メモリーズ
12. 愛の哲学
13. ダンス・ファウンダー
14. フォーカス
15. ライブ・ライフ
EN.
16. ベスト・フォー

♪フィロソフィーのダンス
~Love 4 You TOUR 2022~
TOKYO DOME CITY HALL
2022年6月26日(日)17:40-19:50/第2バルコニー6列74番