恒例のクリスマス・ライブ。会場はいつもの日本橋三井ホールから変わって、恵比寿ガーデンホール。恵比寿ガーデンプレイスの一角にある。元々はサッポロビールの工場があった場所だが、跡地再開発により都会的、人工的な美しい「まち」に生まれ変わっている。以前、ここにミニシアター系のなかなかセンスのよいセレクトをする映画館があったのだが、数年前になくなってしまって…、と思っていたら、4年ぶりに昨春、復活していたようだ。映画といえば、この日は有楽町で「黄金のアデーレ」を見てからのハシゴだった。話題作とかではないが口コミの評判がよく、劇場も満席だった。オーストリアの画家クリムトの代表作「黄金のアデーレ」にまつわる実話を基にした物語で、手に汗握るスリリングな展開と圧倒的な感動に包まれる秀作だった。そんな余韻冷めやらぬ気分で恵比寿に着くと、入口のツリーや建物が無数のクリスマス・イルミネーションで彩られ、たくさんの人でにぎわっていた。「どうしてこんなにクリスマスで盛り上がるの?」という素朴な疑問はあるが、日本人は昔からハレとケを使い分け、絶妙にブレンドしながら四季折々を楽しんできたのだから、まあいいか、とは思う。
 さて、開演予定時刻を少し過ぎて、バンドメンバー8名、パリスマッチの2名が登場した。杉山洋介さんはいつもどおりのダークなスーツ姿、ミズノマリさんは真っ白なドレスが眩かった。1曲目「Silent Night」は、彼らのクリスマス・ソング。一応、クリスマス・コンサートなのだ。が、クリスマス的な演出はこれくらいで、そんなにクリスマス・クリスマスしてないのが、パリスマッチのクリスマス・コンサートである。演奏はめちゃくちゃカッコいい!僕が知っているのはギターの樋口さんくらいだけど、みんなそれぞれの分野でご活躍の面々なのだろう。その樋口さんだが、今日、札幌から来たそうだ。大雪が降っていて、飛行機が欠航しないかヒヤヒヤしたそうだ。そう、樋口さんはbirdの「そうだツアー」で年末は北海道を回っているのである。そっちも行ってみたかったが、さすがに北海道まで行く交通費は無理だなぁ…。
 パリスマッチは今月16日に新譜「11」が出たばかりである。11作目で「11」。確か1年前のライブで作成中といっていた筈で、ぎりぎり間に合った感じである。兎に角、変わらない人たちである。僕がよく聴いている他のミュージシャン、例えば、奥田民生、くるり、ブーム、オリジナル・ラブ、bird、ピチカート・ファイヴ…などでは、大なり小なり音楽性、歌い方などに変化がみられるが、パリスマッチほど変わらない音楽も珍しいと思う。全くぶれない人たちである。その「11」であるが、杉山さんがMCで、「10作で終わりでもいいかなと思ってました。作詞の古澤辰勲(元メンバー)からは、『本当にまだやるのか?』と言われました」と話していた。淡々と、クールである。でも杉山さんは、内面に熱いものを秘めるタイプである。でなければ、こんなに幾つも名曲をかけないだろう。
 ミズノマリさんは、またも泣きそうになっていた、というか、どっかで泣いていた。昨年のクリスマス・ライブでは、観客を無理矢理スタンディングにさせて盛り上げていたが、今年はそういうことはせず、自然にそうなることもなく、例年どおり淡々とイージーリスニング的な雰囲気で終始した。別に観客は盛り上がってないわけではなく、彼らの音楽を静かに堪能していたに違いない。ライブの楽しみ方は、色々である。「色々」というのだから、各々のカラーを楽しめれば、それでいいのだ!

Set List
01
.Silent Night
02.Passion8 Groove
03.Sandstorm
04.Rainfalls
05.Desert moon
06.killing you
07.paradise
08.ナミビアの砂
09.angel
10.Deepinside
休憩
11.Eternity
12.All I need〜東京ベイ〜MUSIC
13.Saturday
14.黒翡翠のララバイ
15.Free
16.太陽の接吻
17.Rockstar
18.虹のパズル
encore
19.冬空カプチーノ・キッド
20.(I'm still)lost in you

バンドメンバー:ギター(樋口さん)、ベース(竜太さん)、キーボード(堀さん)、ドラム(濱田さん)、コーラス(綾ちゃん)、ホーン隊(佐野さん、小池さん、史郎さん)。




♪paris match「L'ULTIMO BACIO Anno 15 Special X'mas Concert」
恵比寿ガーデンホール
2015年12月19日(土)18:05-20:30 / L列26番