paris match
10th Anniversary Special Night
2010/4/16 1st stage
Billboard Live TOKYO
想像や期待を遙かに超えるベスト・オブ・ベスト・ライブだった。パリスマッチを聴き始めてまだ3ヶ月少々だが、その間に結構聴きこんだので、知らない曲は1曲だけだった。こういう体験にワクワクするのは実に久しぶりのような気がする。大袈裟にいえば中学生以来。いや、それはやはり大袈裟としても、あの頃は少ない小遣いで誰のレコードを買おうか思案に思案を重ねたものだ。小躍りするような気持ちで家路を急ぎ、傷つけないように両手でレコードを包み込むようにプレーヤーに載せ、最初の音に耳そばだてながら慎重に、ゆっくりとレコード針を落としたものだ。そうやって長渕剛の「風は南から」やジャーニーの「エスケイプ」を聴き始めたあの頃のようなパリスマッチとの出会いが、しみじみと心に気持ちいい。
それはさておき、今宵はパリスマッチの10周年記念ライブである。初めて実物をみるミズノマリさんは、大体想像していたような人だった。ちょっと日本人離れした美人だけど、少しシャイみたい。でも、ちゃんと大人っぽく振る舞える人。もう一人のメンバー、杉山洋介さんはもっとシャイでMCでもほとんど話さないし、ずっとポーカーフェイスだった。でも、パリスマッチのメロディはすべて杉山さんの手によるもので、その音楽は言葉以上に饒舌ですばらしいの一言に尽きる。
今回はスペシャルライブということで、パリスマッチ史上最大となる15人編成(ゲストを含む)だった。本人たちが繰り返し感謝していたが、本当に豪華な編成である。パリスマッチの魅力は、1にアレンジ、2にメロディ、3にボーカル、4に詞だと僕は思う。ジャンルは、ジャズだったりボサノバだったりサンバだったりフュージョンだったりと多国籍だが、ちゃんと統一感があって1つの世界を構築している。ミズノマリさんの声は七色で、あるときはユーミン、あるときは吉田美和(ドリカム)、あるときは大貫妙子に聞こえ、自由自在である。
昨年発表されたミズノマリさんのソロアルバムからも1曲演奏された。筒美京平さんの作曲に古内東子さんが詞をつけた「恋をする」という歌。古内さん本人をゲストに迎え、2人それぞれの歌でしっとりと聴かせてくれた。「あなたへと続く道はどこかで途切れてたけど どんなに好きだったかも どんなに想っていたかも あなたを忘れるくらい また恋をする」という切ない歌である。
前半がアップテンポ、後半がしっとり系、そしてアンコールでノリノリ系と構成もよかった。最後の「SUMMER BREEZE」は観客総立ちで揺れ動き、大盛況のうちに幕を閉じた。1曲目の「太陽の接吻」から10数曲、あっという間の1時間20分だったが、実に満足度の高いライブだった。次回もぜひぜひ行きたいものである。
歳をとるのも悪くない、と時々思う。自分が本当に好きなもの、しっくり肌に馴染むものがわかってくるのも、理由の1つだ。birdやオリジナル・ラヴ、ピチカート・ファイヴやオレンジペコーなど、自分の好きな音楽とどこか重なりを感じながら、また別の良さをもったパリスマッチにすっかり魅了された夜。きっと、これから先もずっと聴き続けると思う。知らぬ間にできてしまった心の隙間をほんわかとした声と音楽がそっと埋めてくれるから。