オリジナル・ラヴ
「好運なツアー A Piece of Luck」
SHIBUYA-AX 2010/7/25
2006年の「東京 飛行」以来、アルバムもシングルも出てないが、ライブはコンスタントにやっている。で、「好運なツアー」って、「幸運」じゃないんだと、ふと気付いた。そういう表記もあるようなので、漢字を入れ替えたところに田島さんの想いがあったのかどうか。この日のバンドメンバーは、田島さんの他に、木暮さん(g)、鹿島さん(b)、しーたかさん(d)という編成。悪くなかったが、選曲、編曲、構成、どれも個人的にはやや物足りなかった。ハイライトともいえる「プライマル」も何かが足りない…。そう、ピアノが足りないのだ。何年か前に聴いた「プライマル」は田島さんのピアノ弾き語りだったが、本当に素晴らしかった。田島さんの作る歌には、ピアノがよく似合うのだと思う。今まであまり意識して聴いたことがなかったが、この日は、「夜の宙返り」がとてもよかった。これもピアノがメインの歌。「君と離ればなれ ずっと会えないけど じっと待っているのさ 遠い街で」と田島さん独特の感情を抑えた、まるで他人事のような距離感がしっくりきた。「遠い君」は、「青い鳥」なのかもしれない。いつの頃からか自分の心の中に棲んでいる「青い鳥」に、いつか必ず会いに行こうと思う。
今回はMCが少なかった代わりに、詩の朗読があった。「心のつっかえ棒」という詩では、揺れ動く心のつっかえ棒に、自分ならば、バイク、ボクシング、お金、歌…がある。つっかえ棒がなくなってしまうとき、いい歌ができることもある。「夜の宙返り」はそういうときにできた歌だと紹介があった。2つ目の詩は「好運なツアー」。日々忘れがちだが、今日も身の回りは沢山の好運に囲まれていると仮定してみたらどうだろう、という詩。調子が上々のときはともかく、挫折し自信を喪失しているときにはなかなかそう思えるものではない。むしろ不運ばかりが次々と用意されている気分になる。国レベルでも、個人レベルでも。だからこそ、「好運のツアー」と考え直す必要があるわけだが。
2回目のアンコールのあとも拍手が鳴りやまなかった。通常のライブではすぐに照明がついて終わるのだが、まだ大半の観客が残っている。やはり、田島さんが一人で出てきた。「今日はツアー最終日なので、おまけがあります」そう言って、「上を向いて歩こう」をギター弾き語りで歌ってくれた。涙がこぼれないように上を向いて歩こう。この世界には、いろんな色の涙がまだまだいっぱい流れている。そして、これからも。だから…。
