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09
2009/07/01

 ハチ公の横を通り抜け、異人のような若者や外国人たちでごった返すセンター街を抜けて、渋谷CLUB QUATTROにたどり着いた。整理番号324は呼ばれてしまっていて、会場内はすでにたくさんの「街男街女」で埋まっていた。わりとこじんまりしたライブハウス。後ろの方に立っても、ステージまで10mもない。ワンドリンクの引き替えコインをどこかに落としてしまったが、とても探せるような場所でもないし、この際、どうでもよかった。オリラヴの久しぶりのライブに立ち会えるというだけで、嬉しさが込みあげてきていた。前作アルバム「東京飛行」から3年が過ぎている。一体、どんなライブになるのやら…。
 ステージ上に4人が現れた。田島貴男(vo.gui)と木暮晋也(b)は高校時代からの友人だという。ベースは鹿島達也だろうか?名前を覚えてないが、オリラヴのベースラインが好きなので、いつも注目して聴いている。そして驚いたのは、ドラムスがしーたかさんだったこと!民生やパフィーでもお馴染みだが、まさかここで会うとは!1曲目が始まると人並みがステージに向かって雪崩れ込み、自分ももみくちゃになりながら1mくらい前進してしまった。観客もすごく熱狂的だが、田島さんも何だか熱かった!これはいいライブになりそうだ!3、4曲演奏が続いてからMCになると途端に照れ始め、相変わらず田島さん、いい人オーラが出ていた。変わってないな〜!(笑)。「今回、古い歌を聴き直していて、自分でもすっごい歌だなと思うものがちょっとあった。ちょっとだけね。だから今日は、そういった古い歌から、新しい歌までやります。」と言ってて、実際、かなり幅広いレパートリーとなった。結構、嬉しかったのは「BIRD」を歌ってくれたこと。とても好きな歌だけど、生で聴くのはおそらく初めてだったと思う。「朝日のあたる道」や「接吻」、「サンシャインロマンス」などライブでもよくやるシングル曲もあれば、「少年とスプーン」(実は、デビュー頃に作りながらなかなか形にならずに、だいぶ後になって完成した歌というMC)や「哀しいノイズ」といったさりげないアルバム収録曲もやってて、本当にいろいろ聴ける貴重なライブだった。それにしても嬉しそうに歌っていたし、バンドのノリも最高だった。クアトロはオリラヴの人気を全国的なものにした特別な場所でもあるから、感慨深くもあったのかもしれない。オリラヴの作風は、1作ごとにガラッと変わる。原点回帰のような今日のライブを経て、これからどんなものが出てくるのかとても楽しみになった。
 学生時代は洋楽ばかり聴いてて、邦楽は社会人になってから聴くようになったのだが、その頃、ファンになったのが奥田民生やブームであり、ピチカート・ファイヴやオリラヴだった。あれから10数年が経ち、それぞれが自らの音楽の歩みを総括しているような気がする。「40になると、男は、自分の生きてきた道にふと疑問をもつようになる」と、以前、雑誌だかラジオで見聞きしたことがある。なるほどな〜と思う。スガシカオの「progress」にも同じような歌詞があるが、ふと気付けば、自分がなりたかった自分とは違う自分になってることにハッとしてしまうのだ。しかし、思い通りの自分になっている人なんて、果たしてどのくらいいるのだろう。みんなそれぞれに思ってもみない自分に愕然とする瞬間を味わってるのではないだろうか。でも、それはそれで面白がればいいのかもしれない。すべてが予想どおりの人生なんて、実際には退屈に違いないのだから。
 2度目のアンコールで、田島さんだけがギターをもって現れた。「プライマル」だった。人を深く想う気持ちの温かさと切なさが響き渡り、会場はすっかり酔いしれていた。次回もまた行きたい、そう思えるすばらしいライブだった。