「行った気になる世界遺産」

 

著者:鈴木亮平

 

 

 「羽田空港で1日過ごそう!」と思いついたのはいつだったか。コロナ禍で旅行へ行けなくなってからだとしたら、かれこれ2年ほど前だろうか。思い立ったらすぐやらないと気が済まない質なのに、実現までずいぶん経ってしまったが、さて、いよいよ決行と思っていた矢先、この本に出会った。著者は、俳優の鈴木亮平である。行ったこともない世界遺産について妄想で書くという着想が面白い!どこにも旅行しない「羽田妄想旅行」にピッタリな本だと思い、すぐにポチって、旅のお供にした。ちなみにこの本は、本の交流サイト「読書メーター」で知った。web版「ぴあ映画生活」で交流のあった猫ぴょんさんに誘われて今年4月に登録して、時々、読んだ本の感想を書いているのだが、その猫ぴょんさんがつい先日、この本を紹介していて、まさに絶妙なタイミングだった。
 世界30か所の世界遺産について、実際に行って見てきたかのように書かれている。本人による旅先のスケッチも添えられていて、しかも、本人の手足や後ろ姿も描かれていて、いかにも旅行記の体である(笑)。前半はガイドブックの引用みたいな感じもしたが、「ワルシャワの旧市街」あたりから活き活きとした描写になって、俄然、迫力が増した感がある。特にそれは、人物描写に顕著で、旅先で出会った人々との交流を描くことで、これも妄想ではあるのだけど、まるでそこに居合わせたかのような臨場感が出てきたように感じられた。やはり、旅は、人との出会いだと思う。
 僕は、第1〜第3ターミナルを移動しながら、飛行機を眺めたり、食事をしたり、本を読んだりしながら、旅行中の家族やカップルの佇まいを感じて楽しんでいた。もし、誰もいない空港を一人でウロウロしても何も面白くなかったと思う。実際に旅行や出張で羽田空港を利用するときは、時間や気持ちに余裕がないので、今回のようにゆっくり空港内を見物して回るということはない。そういう意味では、意外に有意義な休日の過ごし方になった気がする。今度は成田でやろうかな(笑)。
 本書を教えてくれたお礼も兼ねて、猫ぴょんさんにコメントしたら、妄想旅行記を読みながら空港で妄想旅行したことをとても面白がってくれて、自分も新千歳空港で妄想旅行しようかなと返事があった。ネット空間で知り合った彼女との出会いも、ちょっとした旅先の出会いのような気がした。










 

(ワニブックス)