


♪宮沢和史
「時を泳げ魚の如く」
世田谷区民会館
2019年7月5日(金)18:35-21:00/1階た列24番
宮沢さんの希望で世田谷区民会館での開催になったとMCで話していた。最寄りの駅は、世田谷線の松蔭神社前駅。「え、吉田松陰…?」そんな駅があることを初めて知った。世田谷には滅多に行かないので、早めに出かけて周辺散策することにした。降車駅は、小田急線の豪徳寺。いつもは快速で通過してしまう駅である。駅前の商店街は、昔ながらの懐かしい雰囲気。歩いて10分ほどの豪徳寺は、招き猫発祥の地といわれている。この日も、ひっきりなしに訪問客が来ていて、若い女性や外国人の姿もあった。招き猫の由来が面白い。その昔、彦根藩2代目藩主の井伊直孝が貧しい寺の前を通り抜けようとしたところ、1匹の猫が道をふさいでいたという。どうやっても動こうとせず、招かれるように寺に入って和尚の法談を聞くうちに、たいへんな雷雨となり、一晩、嵐を免れることができた。これが縁で井伊家の菩提寺になったことから寺が栄え、寺で飼われていた猫「たま」が福を招いたという伝説である。実は、ひこにゃんのモデルがこの「たま」ということで、今でも交流がもたれているとは、初めて知って驚いた!
さて、豪徳寺から松蔭神社までの散策も意外と楽しめる。世田谷は、古い町並みの面影を残しつつ、高級住宅地として再開発されていて、都心のオアシスのような雰囲気が感じられた。それにしても、「なぜ、世田谷に松蔭神社なんだろう?」と不思議に思っていたら、長州毛利藩の別邸があった場所と知って納得だった。江戸伝馬町の獄中で刑死した松蔭のお墓を門下の高杉晋作や伊藤博文らがこの地に作ったということだった。神社には、松蔭の墓や木戸孝允(桂小五郎)が奉納した鳥居、松下村塾のレプリカなどがあり、まるで萩に来たような小旅行気分である。という枕話はこんなところにして…。
宮沢さんは、少しずつ音楽活動を再開している。病気のことがあるため、体調に合わせて、間を開けながら会場を探しつつ、自分のペースでライブ活動をしているという話だった。ツアーのように連続してできないために、ライブ前にもう一度バンドメンバーを集めてリハーサルが必要になるとのことだった。自分の我が儘で迷惑をかけているけど、今は、こういうやり方でやっていきたいと語っていた。「一度、音楽から離れたことが、今思えば、却ってよかったようにも思える」と話していたのが印象的だった。ボーカリストが歌えなくなることがどれほど辛いことか想像に難くないが、できないことではなく、できることを考えて生きていくという姿勢は流石である。そう思えばいいと頭ではわかっていても、実行することは難しい。博多明太子の誕生を描いた舞台版「めんたいぴりり」の中で、この世の苦しみに耐えかねている主人公に向かって、あの世の戦友が「生きているからこそ苦しめる、羨ましいことだ」と励まされるシーンがあったと、少し前にカミさんから聞いたことを思い出した。苦しいときは、考え方を工夫するしかない!
この日のライブは、「極東サンバ」や「Tropicalism-0℃」のサポートメンバーだった美座ミザリート良彦さんがゲスト参加され、当時のノリのいい楽曲をたくさんやってくれた。やはり、人気のアルバムなのだろう、会場は大いに湧いた!宮沢さんがイパネマ海岸でかいたという「風になりたい」やバリ民謡テースト溢れる「ブランカ」など、この頃のブームの楽曲はまさに国境を越える音楽だと思う。この日も宮沢さんは饒舌で、立て板に水の如く話していた(詳細は忘れてしまったけど…汗;)。あんな風に自由自在に話せたら、どんなに楽しいだろうかと、いつも羨ましく感じてしまう。
というような感想を8月も終わりになって、思い出しつつ書いているのだが、少し前の朝刊(8/22)にあったコラム「政治季評」が面白かったので、少しだけ触れる。早稲田大学の豊永郁子教授による「権威主義」に関する考察。一体、どういう人がトランプ大統領を支持しているのかという問に対する答が、「権威主義」だという。グローバル化の敗者となった貧しい労働者階級がトランプ氏を支持したという物語が実は虚構であって、多様性や違いを嫌う権威主義者たちが社会共通の価値観が失われていくときに、あらゆる領域で不寛容になっていく中で、強行的手段を用いてでも規律を行き渡らせてくれる強いリーダーを支持したのだという説明は、読んでいて納得だった。当然のことながら、権威主義とは政治体制のことではない。個人の心理的傾向のことで、誰もが持っているそのバランスが傾きすぎると権威主義者になるという。その見分け法というのが興味深い。曰く、子供に「行儀の良さ」と「思いやり」のどちらが重要かという質問に、前者と答えるのが権威主義者なのだそうだ。そのトランプ大統領は、中国との貿易戦争にまっしぐらである。「チキンレース」とも揶揄される意地の張り合いは、周辺国にも影響するようで、徴用工への補償問題に端を発する日韓対立も激しくなる一方である。譲歩した方が負けという暗黙の国際ルールの下、不寛容であることをお互いが強いられているように思える。結局、煎じ詰めれば、「お金」の問題なのだろうか…。
メンバー
ドラムス:伊藤直樹
ピアノ:白川ミナ
ギター:町田昌弘
パーカッション(ゲスト):美座ミザリート良彦