
緑色のヘアー、ドギツイ化粧、猫背のか細い身体。なぜか自分には、羽の折れた鳥のよう見えてしまった。1曲目の英詩の歌は、そんな姿に呼応する内容だった。もう長くは続かないだろう、もうダメだろうと言われているけど、私はまだできる、というような歌。そして、最初のMCでこの歌詞に触れ、今の私の気持ちだと語った。苦しみ、痛みを私は歌に込めて歌うので、みんなも心を開いて、苦しみも痛みも全部、私に投げかけてほしいというようなMCだった。歌が進むうち、彼女の勇気を感じた。彼女は傷つくことを恐れない勇気をもった人なのだ。決して、傷つかない人なのではなく、それに立ち向かう勇気をもった女性なのだと思った。観客の大半を女性が占めているのは、同じように生きにくさを感じている女性たちが中島美嘉の生き様に共感している証なのかもしれない。彼女の魅力は、そこにある。
中島美嘉のライブに行くのは2回目になる。きっかけは、「雪の華」だった。美しいメロディに魅せられて、50円でレンタルしたベストアルバムを聴いて、自分好みの楽曲が多いのに驚き、birdとの共通点を知って、今更ながら「DEARS」と「TEARS」を買って、毎日聴き入っていた。昨年初めてライブへ行くと、両耳の病気を患った後遺症なのかわからないが、音程が乱れてしまう姿に衝撃を受けた。歌手としては致命的な病気でありながら、必死で歌う姿は痛々しかったが、そんな彼女を慕うファンの姿にも心を打たれた。うまくできているかどうかではなく、その生きる姿勢がファンの心に届いていることが感動的だった。彼女の美しさは、表面的なものだけでなく、内面にこそあると知って、好意をもつようになった。
アコースティックは普段のライブでも大事にしていて、今回は20周年記念の自分へのご褒美として、全面的にアコースティックなツアーをやらせてもらっているという話があった。アコースティックとうたってはいるが、電子ピアノやエレキベースなど電子機器も使っていたので必ずしもアコースティックだけではなかったが、しかし、シンプルな演奏の方が彼女の歌は聴きやすかった。音程のずれは昨年ほど気にならず、とてもよかった。ハリケーンの被害を受けたニュー・オリンズで支援ライブを行ったときの歌「ALL
HANDS TOGETHER」を歌うときには、今年の熊本震災についても触れ、自分にできるのは歌うことだと言っていた。「僕が死のうと思ったのは」や「Gift」もよかったし、どの楽曲も楽しめた。今回もダンサーが3名いて、歌に合わせて踊りのパフォーマンスがあった。バンドは、キーボード(バンマス)、ギター、ベース、ドラムスという最小限の構成だったが、とてもいいメンバーだった。
今日のお客様は本当に温かく、とても気持ちよく歌えました、と最後に挨拶があった。何十回、何百回とライブをしてきても、1回1回を大事にする姿勢に共感できた。また、来年も行きたいなと思いつつ、家路についた。
Set List
01.You Haven't Seen The Last Of Me
02.You'd Be So Nice To Come Home
03.一番綺麗な私を
04.見えない星
05.Shadows of you
06.蜘蛛の糸
07.明日世界が終わるなら
08.僕が死のうと思ったのは
Interlude(LIFE Instrumental)
09.愛詞(あいことば)
10.ピアス
11.雪の華
12.花束
13.Gift
14.ALL HANDS TOGETHER
15.LOVE NO CRY
16.SONG FOR A WISH
encore
17.atoma
18.LAST WALTZ
♪THE ACOUSTIC 2016 ~MIKA NAKASHIMA 1st Premium Tour~
東京国際フォーラム
2016年6月7日(火)18:35-20:35/3F4列40番