

マドンナって本名なんですね。Madonna Louise Ciccone!80年代初頭、流星のごとく世界のポップシーンに躍り出た瞬間を僕は目撃した。どこかM.モンローを思わせる風貌。男性に媚びる感じは微塵もなく、エネルギッシュでキラキラ輝いていた。初めて聴いた曲は3rdシングルの「Holiday」だったか。個人的には、その次にシングルカットされた「Bordorline」が好みだった。静かなイントロからはじまる美しいメロディラインと切なげな高音域の歌声が相まって、胸に迫ってくる。彼女の快進撃が始まったのは、次の2ndアルバム「Like
A Virgin」からといっていいだろう。タイトル曲と「Material Gilr」で人気は不動のものとなった。今回は、10年ぶり5回目の来日公演である。特にファンではないが、稀代のクイーン・オブ・ポップを一度は見ておきたいと思い、バカ高いチケットを購入した。
開演時間の19時になると、オープニング・アクト(前座)のDJ Mary Macが登場。ハイチ出身の女性DJである。いろいろなアップテンポの曲をつなぎ合わせ、盛り上げていく。しかしながら、その選曲は全く自分の趣味に合わず、15分もすると飽きてしまった。パフォーマンスも、「トーキョー!」「マドンナ!」「拍手!」を繰り返すだけだったので、苦行のごとく退屈であった。せいぜい前座は30分ってところだろうと思いきや、19時半になっても終わる気配がない!結局、単調な繰り返しが1時間も続き、、20時になってしまった!すっかり焦らされた感じの観客をさらに驚かせたのは、次のアナウンスだった。「ここでしばらく休憩時間になります」。だだっ広いさいたまスーパーアリーナ全体にどよめきが走った。この間にトイレへ行く人も少なくなかったが、大半の人は拍手をしたりウェーブを作ったりしながら主役の登場を待ちわびていた。しかしながら、この休憩時間がいつまで続くのか全くアナウンスもないまま延々と待たされた挙句、20時半を回った頃になって、開演までもうしばらくお待ちくださいと言われ、その次のアナウンスでは、開演が20時50分頃になり、2時間10分の公演が予定されているため、終電時刻をご確認くださいというではないか!「23時終演で帰れるだろうか?」甚だ疑問ではあったが、この期に及んで途中で帰るのもバカバカしいと思い、最後まで見ることにしたが、すぐ前に座っていた女性客は、開演を待たずに席を立ち、そのまま戻らなかった。この「開演2時間遅れ」は翌日の新聞やネットでも大きな話題になり、ライブを見られずに帰った観客は少なくなかったようだ…。
開演予定時刻から遅れること約2時間、鍛え抜かれたダンサーとともにマドンナ登場。ステージの床がせりあがったり、ゴムのような棒に昇ったダンサーが観客の真上に降りて来たり、上半身裸の女性がいたりで、もはや音楽ライブの域を超えた内容だった。20代の頃、フランスで観た「ムーラン・ルージュ」に少し似ているところもある。マドンナは57歳とは思えぬ若々しさでステージ上を所狭しと踊りながら歌いまくった。多くのベテランシンガーの来日公演はいわゆるベストヒット的な選曲であるが、今回のライブは新作「Rebel
Heart」のツアーだった。つまり、現役バリバリというわけである。すべての曲に振り付けがあり、ダンサーとマドンナの絡みも多い。それらを完全に覚えるだけでも大変だろうなと思う。ブーケを投げて、「受け取った女性と結婚する」と言ったり、ステージに二人の女性客を上げて話をするコーナーがあったり、MCも多く、サービス精神は旺盛である。一番印象的だったのは、「バラ色の人生」を小さな4弦ギターで弾き語りしたシーンだった。エディット・ピアフの代表曲として知られる名曲だが、フランス語でしっとりと聴かせ、会場で合唱、大声援に嬉しそうな姿は、傲慢さを微塵も感じさせない完璧主義の魅力的なアーチストだった。なぜ、多くの人を熱狂させてしまうのか、観れば納得であった。
話は変わるが、今秋の米国大統領選の予備選挙で共和党トランプ氏の勢いが止まらない。「イスラム教徒を国内に入れない」とか「メキシコとの国境に壁を築き、その費用はメキシコに払わせる」とか、過激で実現性の低い主張が話題になっているが、少なからず人心を掴み、現時点では共和党候補の第1位である。多くの人は嘘つき呼ばわりされないようにうまくオブラートに包みながら、何とか承認を得ようと試みるが、それが姑息な小者に見えてしまう面もある。2020年のオリンピック開催地を選ぶ場面で、福島原発の影響を心配する質問に対して、安倍首相が「under
control」と言い切ったのもこれに似ている。おそらく真っ当に「まだ汚染水の流失を完全には止められてないし、廃炉に向けての道筋もまだまだこれからだけど、できる限りの対策は国として責任をもってやります。」なんて答弁では、人の心は動かないという判断での発言だったのだろう。経済が疲弊した戦前のドイツで、ユダヤ人など他民族に責任を負わせることで自国の経済を飛躍的に回復させ、国力拡大に力を発揮したヒトラーを多くの国民が支持したのもこれと似ている。さて、マドンナの傍若無人な言動を見聞きしていると、そうしなければ厳しいショービジネス界にこれほど長きにわたって君臨することなどできなかっただろうと思える。
予定通り23時過ぎに終演となった。それから通路一杯の観客とともに駅までゆっくりとしか歩けず、終電には間に合わなかった。横浜駅まで来られたので、ホテル泊のつもりだったが満室のため泊まれず、ブラブラしていて24時間営業の天然温泉を見つけ、そこでいくつか温泉につかり、仮眠室で眠りに就いたのは、午前2時過ぎだった。散々な目にあったが、それゆえに思い出深いライブとなった。やはり、マドンナは凄い!
Set List
01.Iconic
02.Bitch I'm Madonna
03.Burning Up
04.Holy Water
05.Devil Pray
06.Body Shop
07.True Blue
08.Deeper and Deeper
09.HeartBreakCity
10.Like A Virgin
11.Living For Love
12.La Isla Bonita
13.Don't Tell Me
14.Rebel Heart
15.Music
16.Candy Shop
17.Material Girl
18.La Vie En Rose(Edith Piaf)
19.Diamonds Are a Gilr's Best Friends(Jule Styne)
20.Unapologetic Bitch
encore 1
21.Holiday
♪Madonna Rebel Heart Tour
さいたまスーパーアリーナ
2016年2月13日(土)19:00-23:00 / Nゲート6列267番