11月23日、今年11回目になる「フェスティバル・コンダ・ロータ」へ行ってきた。
アフリカのチュウ語でコンダは「愛」、ロータは「夢」を意味するのだそうだが、そういうことには特に思い入れもなく、キューバの革命的ベーシストと云われるCachaito Lopez(カチャイート・ロペス)のライブへ、ただ何となく馳せ参じてきた。
カチャイートは、日本でも話題になった映画「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」にも参加した人で、作曲家である父と叔父は、1930年代にマンボのリズムを作ったという音楽一族の生まれである。私の予備知識はそれくらいで、本当に何も知らずに行ってきた。
場所は、Bunkamuraシアターコクーン。開演間近に到着すると、こぢんまりしたホールはすでに満席で、独特の緊張感にざわついていた。XAという座席位置が見当もつかないので近くにいたスタッフに案内してもらうと、前へ前へと連れて行かれ、とうとう最前列の真ん中の席に着かされてしまった。ステージまで、手を伸ばせば届きそうな距離だ(すげぇ〜)。実際、開演後、カチャイートに握手してもらっちゃったぞ!ウッドベースをビンビン弾く手は、肉厚でとても柔らかく、幾分火照っているようだった。
この日のメンバーは、パーカッショニストのAnga Dias(アンガ・ディアス)とDJのDee Nasty(ディー・ナスティ)をフィーチャーした構成になっていて、ほかにハモンドオルガン、トランペット、サキソフォン、ボンゴ、フルート、ギターの総勢9名という賑やかしいバンドになっていた。知っている曲は見事になく、おそらく大部分が即興というなかで、時折、聴いたことのあるフレーズが混ざっていた。即興の中でも聴き応えがあるのが、順に演られるソロやパート間の競演で、たとえば、カチャイートがベースで♪ベンベコベンベン♪と演ると、アンガがパーカッションで♪ドンドコドンドン♪と応じるという具合である。まるで、音楽で会話しているような趣があり、即興ならではの面白さがあった。また、DJディーのスクラッチが実に恰好よかった。最後は、観客全員がスタンド・アップさせられ、なかば無理矢理踊らされたが、「東京の叫びを聞きたいんだぁ」とか言われて、みんなでワーワー叫んで熱くなっていった。1曲が長いので、5、6曲で1時間半のライブは終わりだったが、十二分に楽しいライブであった。
ロックの世界では40定年、50までやっていると「よく頑張るねぇ」と云われてしまいそうだが、ジャズとかこのキューバ音楽だと、なぜか年寄りが恰好よく見える。カチャイートも今年68だが、まさに「いぶし銀」という感じで、なんともいい感じであった。あんな風に恰好よく年取りたいなぁという感慨に耽りつつ会場を出ようとすると、まさしくロマンスグレーの恰好いい外人と出くわした。ふと目が合うと、ピーター・バラカンその人であった。ライブで熱っぽくなっていた私は、一瞬、この人とも握手しようとしたが、よく考えるまでもなくピーターさんと握手する理由は何もないので途中でやめた…(笑)。