宮沢和史
寄り道四十七次〜花鳥風月〜

ゲスト

アルベルト城間
マルシア
大城クラウディア

横浜開港記念会館
2012/10/28 sun
17:10−19:20

 「寄り道」は、宮沢さんのライフワーク的なソロ・ライブ活動である。今回は「四十七次〜花鳥風月」という3月から始まったツアーで、すでに終盤に差し掛かっている。ライブは「花」「鳥」「風」「月」の4種類あって、この日は「花」。「花」はスペシャル企画らしく、その時々で違った内容になるようだ。ちなみに「鳥」はギターとピアノ+ストリングス、「風」はギターとピアノ、「月」はギター弾き語りとなっている。今回のスペシャル企画の内容は「ニッポニア」ということらしく、日系ミュージシャンをゲストに迎えて日本の歌を歌うという趣向だった。昨年(2011)発売された「よっちゃばれ」もそうだったが、宮沢さんの中で「日本」がクローズアップされているのだろうか…。
 はじめは鶴来正基さんのピアノとパーカッションの3名編成で「難破船」が歌われた。そして2曲目の「蘇州夜曲」、これがこの日で一番よかった。よく知らなかったが、戦前の日本映画「志那の夜」(1940)に使われた服部良一(作曲)の代表作である。タイトルどおり中国的なメロディラインをもちつつ日本的な情緒も感じさせるとても美しい歌である。偶然ではあるが、このライブの翌週に行った「ゆったりライブの旅」というイベントコンサートの中でもアン・サリーさんがこの歌を歌っていて、2週連続で聴くことになった。サイトで調べてみると、奥田民生や桑田佳祐、夏川りみなどたくさんの人がカバーしていて、実は隠れた流行歌になっているのかも…。
 最初のゲストは、20年来の親友でもあるアルベルト城間。日系ペルー人である。宮沢さんの紹介では、ペルーののど自慢大会で優勝し、南米大会に出てまた優勝、さらに南北アメリカ大陸の大会でも優勝したのだそうだ。その副賞として初めて来日した折りに、故郷である沖縄へ来てディアマンテスを結成し、音楽デビューしたのだそうだ。ラテン系の歌にはピッタリの声質で、どこまでも陽気な人柄がちょい暗めの宮沢さんに合うのかもしれない。個人的には、暗いというか、あれこれ深く考え込む宮沢さんの方に興味を感じてしまうが…。日本に来て初めて習ったという「荒城の月」もさすがに上手かったが、ラテン系の歌の方が遙かに似合う人である。
 2人目のゲスト、大城クラウディアさんは、日系アルゼンチン人。ブームのライブでは、ブラジル音楽から演歌まで何でも歌いこなしてしまうすごい歌唱力の持ち主である。宮沢さんが書いた歌「幸せゆき」がとてもよかった。宮沢さんはMCの中で、海外に移り住んだ日系人は、日本にいる日本人以上に日本のことを思い、日本の歌を愛しているのかもしれないと語っていた。確かに、ふるさとは遠きにいて思うものである。
 3人目はマルシアさん。タレントという印象をもっていたので意外だったが、歌手でもある。ブラジル日系人で地元で開催された歌謡選手権で準優勝したのを機にスカウトされ、なんと猪俣公章の元で修業している。ただこのときの2年間、一度も歌の指導はなく、ただただ身の回りのお手伝いさんをやってましたと面白可笑しくエピソードを披露。さすがにトークがうまく、あっという間に会場が盛りあがった。デビュー曲の「ふりむけばヨコハマ」(作曲/猪俣公章)で多くの新人賞を獲得したそうで、この日も会場が横浜であることをネタに盛り込みながら、曲紹介をしてから歌った。歌もうまいが、やはりテレビの人である。短時間でお客を楽しませるエンターテイナーの才はさすがであった。
 最後に宮沢さんが「島唄」を歌い、アンコールで「風になりたい」を歌った。そして全員で「シンカヌチャー」を歌って、宮沢さん弾き語りの「遠い町で」で締めくくられた。宮沢さんの初ソロ・アルバムに収録されているこの歌は、「離れていても 君の心 いつも見てる 遠くにいても 君の涙 僕は見える」と歌われる。心の奥にまで届く優しさに、涙がにじんだ。