

JOURNEY
日本武道館
2013/3/11[mon]
18:45-20:50
S席2F南M43番
僕がいた中学校では、昼休みが終わるチャイム(ウエストミンスターの鐘)が鳴る前にビリー・ジョエルの「Honesty」が流れ、放課後はビートルズの「The
long and winding road」で1日が終わった。なかなか洒落た学校のようだが、それ以外には特段自慢することもない平凡な学校である。その頃、ジャーニーの「Who's
crying now」もFMラジオでよく流れていたが、この曲は少し暗い。むしろ、ホール&オーツの「Private
eyes」やシーナ・イーストンの「Modern girl」の方が好みだったと白状しておこう。本格的に洋楽にのめり込んだのは、高校に入ってからだった。クラスメイトSの影響である。ちなみにSからは、少女漫画の中にも読むべき名作があることを教わった。「パタリロ」の「忠誠の木」の話や「エロイカより愛を込めて」、「ガラスの仮面」など、彼と出会わなかったらまず読んでなかったと思う。余談はさておき、その頃、週末の深夜ラジオ(ラジオ日本)で放送されていた「全米トップ40」を聞きながら、メモ帳に順位と曲名を書き取り、週明けに語り合うのが日課だった。1982年のヒット曲に、ジャーニーの「Open
arms」がある。この曲にはかなり惚れ込んだ。当時、アルバムは2,500〜2,800円した。僕の月の小遣いが3千円だったから、アルバム1枚買うのも大変だったが、この曲にはそれだけの価値があると思ったのだろう。この曲が収録されている7thアルバム「エスケイプ」が、僕が初めて買った洋楽レコードである。ただただ嬉しくて、レコード店から後生大事に持ち帰ると、両親のいる前でステレオにかけ、大音量で聴かせたのだった。「すごくいいね」と驚くんじゃないかと期待していたが、そうでもなくて拍子抜けした記憶がある。ジャーニーが最もヒットしていた頃と僕の洋楽三昧の青春はピタリと一致していた。
今回は、結成40周年の記念公演である。とはいえ、このバンドは、かなり頻繁にメンバーチェンジをしていて、結成時からの在籍メンバーは、ニール・ショーン(g)とロス・ヴァロリー(b)の二人だけである。バンドの顔でもあるボーカルもすでに6人目!黄金期ともいえる「Open
arms」時代のボーカルは、スティーブ・ペリーである。広い音域と独特の声色で、「百万人に一人の声」とも言われ、ジャーニー=スティーブ・ペリーといった感じだったが、98年に脱退している。その後、二人のボーカリストが加入するも相次いで脱退。低迷が続く中、ニール・ショーンがたまたまYouTubeで発見したのが、現ボーカルのアーネル・ピネダである。アーネルはフィリピンの無名シンガー。2年間も路上生活をするなど極貧生活を送っていた男が、一躍、世界的なロック・バンドのリード・ボーカルになってしまったのだから驚く!ドラマのような話だが、さらに驚くのが、その声である。非常に個性的だったスティーブ・ペリーによく似ているうえに、抜群の歌唱力なのだ。彼は40歳にして夢を掴んだのだが、ジャーニーもまた彼によって救われたように思える。YouTubeでアーネル・ピネダのサクセス・ストーリーを見ることができるが、彼が歌うことによって、「Don't stop believin'」は時代を超えた名曲になったのだろう。
前書きが長くなったが、実はライブの模様を描写するよりも、そこに至る経緯を振り返ることが自分にとって意味があったのかもしれない。今回、ライブに誘ってくれたのは高校時代の友人Kである。紀行文「アメリカよ」にも登場するように、長く親しくしてもらっているのだが、今回のお誘いは「パスする」と断った。高校時代とはだいぶ音楽の趣味も変わっているので、懐かしさはあったが、1万円近くするチケットを買ってまで行く気持ちはなかった。断った後で、アーネル・ピネダの話を教えてもらい、ちょっと興味はもったのだが…。結局、Kは一人で行くつもりだったが、その後、イギリス旅行と日程が重なってしまい、チケットを譲ってくれたのだった。前座のバンド(女性ボーカル+ギター+ベース)が30分ほど演奏してから(これもなかなかよかった)ジャーニーが登場すると、1曲目の「Separate Ways」から会場は一気に総立ちになった。「単純な音楽だな〜」と思ってしまったが、あの頃は夢中だったのだから、とにかく懐かしい。「Faithfully」や「Open arms」といったバラードにはじんわり涙が…。知らない歌もあり、やや単調なライブ・パフォーマンスという感もあったが、やはりアーネルの歌う「Don't stop believin'」で盛り上がりがピークに達した。ジャーニー再生の象徴であり、このライブのハイライトだったと思う。早くからアーネル少年の才能に気づき、歌うことを勧めてくれた母親は、13歳のときに他界している。大きな成功を手にした今も、彼は母への感謝を忘れないと涙を滲ませて語っていた(You Tube)。その気持ちが歌に込められ、聴く者の心を揺さぶるに違いない。信じる者は救われる、と信じ、何かしらの信念を持ち続けていかなければ、人生の旅<journey>を楽しみ続けることはできないのかもしれない。
1. SEPARATE WAYS
2. ANY WAY YOU WANT IT
3. ASK THE LONELY
4. WHO'S CRYIN NOW
5. ONLY THE YOUNG
6. STONE IN LOVE
7. KEEP ON RUNNIN'
8. EDGE OF THE BLADE
9. FAITHFULLY
10. LIGHTS
11. STAY AWHILE
12. OPEN ARMS
13. JUST THE SAME WAY
14. ESCAPE
15. DEAD OR ALIVE
16. WHEEL IN THE SKY
17. DON'T STOP BELIEVIN'
〜 encore 〜
18. BE GOOD TO YOURSELF