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「自由論」
著者:内山節
ページをめくるたびに目からウロコが落ちるような本である。といって何もアッと驚くような話が書いてあるわけではない。腑に落ちるというか、読んでいてス〜と心に染みてくるような静かな感動がある。
例えば、「樹の自由」について。
私たちは移動できることを前提に自由を考えるから、動くことのできない樹は不自由だと思う。ところが樹は、動けないからこそ、鳥や小動物や微生物を呼び寄せる能力をもった。また、動けない樹が自由であるためには、他の生き物たちも自由に生きていられることが必要で、互いの自由を必要とする関係は素晴らしい、というような挿話がたくさん出てくる。
今の世の中は、情報の洪水の中を競い合って泳いでいるようなものである。刺激的情報が天こ盛りで頭の中の知的欲求は十分過ぎるほどだが、心の中は何か物足りなさで渇いている。
「自由とは何か?」
一見簡単そうで実は奥深いこのテーマについて、作者はさまざまな事例を交えながら、自然と人間の関係改善を訴えているようにも思う。考えながら感じながらゆっくり味わいながら、のんびりと思索の旅に出るのもいいものである。
−この本を紹介してくれた荒川さん、ありがとう−
(岩波書店)
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