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さわやかな髭
説明するほどの理由もなくときどき思いつきで髭を伸ばしていると、「どうして、伸ばしているの?」といろいろな人から訊かれる。普段あまり会話しない人からもこの手の質問は多く、髭を伸ばすことでコミュニケーションの輪が広がると云えなくもない。中には無精髭と勘違いして、「伸ばしているの?」「いつ剃るの?」と訊いてくる人もいる。もともと濃くもなく、「カビみたい」「汚い」などとひどいことも云われている髭なので、別に何言われようと構わないのだが、今朝は思わぬことを言われた。
朝、職場に着いて、「おはようございます!」と挨拶した先輩から出し抜けに、「今日もさわやかな髭だね〜」と。
「いえいえ、いつもカビと呼ばれてますから」と少し笑わせたあとも、しみじみ心に残る一言だった。
「さわやかな髭」。
まるで、「三度目の初恋」のような矛盾と意外性に富んだ響き。まっとうでありつつ、少し意外性がある。そういう存在に惹かれもするし、そういう存在になりたい自分に、今朝の先輩の一言は気付かせてくれた。
唐突だが、ドリアン助川(現:TETSUYA)氏の次のような言葉が浮かんだ。「女とは矛盾した存在であると知れば、少しは優しくなれる。そういう男も矛盾しているのだから。」
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