井上陽水
LIVE 2012 HELLO GOODBYE
神奈川県民ホール
2012/4/18 1階13列28番


さすがに客層の年齢層は高く、還暦を過ぎてる人が半分以上いたのでは…。古くからのファンが多そうだったが、僕は陽水さんが奥田民生と一緒にやるようになって興味をもったので、ファン歴は短いし、それほど聞き込んでないので「ファンです」というのさえ気が引ける。実のところ、そんなに好きでもなかったのだ。声も曲も好みではない。しかし…、近頃、風向きが変わりつつある。なぜか、自分でもよくわからないのだが…。
独特の立ち位置にいる人だなと、以前から思っていた。みんなが「えっ!」と思うようなことでも平気で口にしちゃう人のような気がする。確信的愉快犯って感じかな?宮沢賢治のことを「君の言葉は誰にもワカンナイ」と歌ってしまうなんて、誰にも真似できないと思うし、物議を醸しても何となく許容されてしまう人な気がする。こういうタイプは極たまにしかいない。大部分の人は世間体を気にして生きているから、陽水さんの潔さ、覚悟、もしかしたらいい加減さを含めて羨ましく思っているのかもしれない。自分も陽水さんを知るようになってから、だんだん羨ましくなりつつある。
しかし、それは、やはり名曲があるから許されるのだろう。ミュージシャンにとっての名曲は、しっかり仕事をしているという証のようなもの。ただ呑気に遊んでいるだけではないのだ。本人もMCで言っていた。「もう40年以上もやってきて、たくさんの歌を作ってきて、そのほとんどは大したことはなかったわけですが、たまにいいのがあったりもして…。」なんて言いながら、にやにやしている怪しげなオジサンは、確かにちょっと面白そうな人なのである。
バンド・メンバーは、ドラム、ギター、ベース、2キーボードで陽水さん(vo/gui)を含めると6名。ずいぶん格好いいギターを弾くな〜と思ったら、長さんだった。民生のソロ・バンドに10年間いた長田進さんは、相変わらずだらしなく口を開けたまま、魂をギターに注ぎ込んでいた。「アジアの純真」なんて、本家本元みたいなもんで、本当に格好よかった。
とぼけた感じのMCは冗舌でもないのに、なぜか引き込まれる。これは歌詞にもいえるのだが、言葉遣いが面白い。「なぜか上海」なんてタイトルからして可笑しいけど、歌詞はもっと変。「そのままもそ、もそ、も、もそっとおいで」とか「ギターをホロ、ホロ、ホ、ホロッとひいて」とか意味不明でも、それが一種独特の間になって、リズムができ単調に陥らない。そうかと思えば、美しい詩のような「少年時代」があったり、まるで社会派カメラマンのスクープ写真集のような「最期のニュース」があったりするのだ。どこまでも掴み所のない奥行きを感じる人である。
「今回のツアータイトルは、HELLO GOODBYE。ビートルズを聞いて自分にも音楽ができると思いまして、彼らには強い影響を受けました…。影響を受けたと言っても、そういう曲はないのですが(笑)。しかも、ツアータイトルにしているのに、HELLO
GOODBYEは歌わないという変なことになっていますけども(笑)」。と言いながら、いきない歌い出し、会場を沸かせる!陽水さんのビートルズ、なかなかよかった。アンコールで5曲も歌い、約2時間のライブは、大満足のうちに終わった。何だか、また行ってしまいそうだ…。