「すべての人の心に花を」
 
 
著者:喜納昌吉
 
 沖縄民謡第一人者、喜納昌永を父にもつ著者は、1948年、沖縄県コザ市に生まれる。沖縄日本復帰が1972年、24歳のときであるから、少年期、青年期を戦後の傷跡残る時代に生きたといえる。そのことは、おそらく著者の人生に大きく影響し、また、「ハイサイおじさん」や「すべての人の心に花を」といった名曲を生む原点にもなっているように思える。喜納さんは、この2曲を作ったのではないとハッキリ書いている。「音楽の神様が僕の中に降りてきた」というのである。そういう特別な状況下で生まれた歌が、今でも世界中で歌い継がれ、愛され、人々の苦しみを和らげているのである。
 この本は、著者自身がこの半世紀を総括しながら、なお、戦火の消えぬ今日における平和へのメッセージが込められている。あまりに悲惨な事件が続くと、人々は絶望するが、喜納さんは「あとがき」にこう記している。「ほんとうの光を見るためには、ほんとうの闇を通らなくてはならない。…選択を誤らなければ、必ず道はひらける。これだと思った瞬間を大切にし、直感と自分を信じればいい。」
闇と光のなかを生き抜いてきた人の言葉であるがゆえに、勇気づけられる。
 
(双葉社)