早川先生へ
ご無沙汰しています。お元気ですか?今、先生がいらっしゃるところは、どんなところですか?寒いですか、暖かいですか?本当に苦しみや悲しみのない平安なところなのでしょうか?争いや憎しみ合いもないところですか?色や音はあるのですか?
さて、私の方ですが、先生が知っている頃に比べると、もしかしたら多少変わってしまったかもしれません。ありのままの素直さやか弱きものへのいたわりの気持ちや分け隔てない優しさも、10歳の頃に比べるとかなりすり減ってしまったような気がします。世間でしぶとく生き抜くためには、小さなことにいちいち悲しんでたり、動揺してるわけにはいかないと自分に言い聞かせてるうちに、いろんなことに目をつぶるようになった気がします。いわゆる「いい人」ではなくなったと思いますが、それが大人になるということなのかどうか、自分には少々疑問です。
先生に1つ質問があります。閻魔様の前で自分の一生を絵巻を紐解くようにして見ることができるというのは、本当なのでしょうか?そのとき、どんな気分になるのでしょう。恥ずかしかったり、後悔したり、或いは懐かしさに涙が出たり、それともすべてをありのまま穏やかな心で受け入れることができるのでしょうか?ご両親や旧い友人には再会できましたか?その姿は、一体いつのときのものなのですか?逢ったらすぐにわかりましたか?それにしても、61歳での旅立ちは少し早すぎませんか?最後にいただいた年賀状に体を壊したとあったので心配していましたが、まだまだ早すぎですよ。ご家族の方もさぞ、寂しがっていることと思います。
もう30年以上前になりますが、転校してきたばかりで、博多弁の訛りを気にしていた自分をサッカークラブに誘ってくれたり、菜園づくりを手伝わしてくれたりして何かと気遣ってくださった早川先生のさり気ない優しさを、今、思い出しています。いうことをきかない生徒たちに腹が立つと、煙草に火をつけ、何も言わずにずっと授業を中断したり、突然、教室から出ていってしまったこともありました。先生なりに生徒と向き合い、懸命に格闘されていたんだろうなと思います。怒った顔よりも、先生の笑顔ばかりが思い出されます。自分にできる精一杯を尽くすことこそが先生へのご恩返しだと思って、頑張っていきます。本当にありがとうございました。心からご冥福をお祈り申し上げます。
平成23年1月