GONTITI ダブル還暦フェスティバル
〜one hundred twenty of Happiness〜
東京国際フォーラム ホールC 1F19列6番
2014/10/10(fri) 19:00-22:00
ゴンザレス三上さんとチチ松村さんが共に還暦でいる今年9月6日〜12月29日までの期間限定「ダブル還暦フェスティバル」に行ってきた。客層も還暦を過ぎた人が多いが、みな若々しい!人生80歳、90歳という時代の最先端を感じる一夜だった。
照明が消え、観客がステージに意識を集めているところに、会場の右奥から越智ブラザースが登場し、しばし太鼓のリズムに陶酔する。次いで緞帳があがり、ステージ中央で還暦の二人が奏でる「南方郵便船」を聴いた瞬間から異次元に滑り込んでしまった。地球一番快適音楽といわれたゴンチチならではのリラクゼーショナルな音楽世界に引き込まれるのに1分とかからない。快適なのに、眠くならないのは、パッションが感じられるからだろう。音色を聴いただけでゴンチチとわかるのは、三上氏独特のギター音のせいもあるが、特徴的なメロディにも訳があるに違いない。そうくるか〜、というような不思議な美しさを感じる曲が実に多い。かなりのメロディメーカーである。
1 南方郵便船
2 楽しみな週末
3 風の国
4 Tiny Lips
5 いつか風になる日(元ちとせ)
6 Floating Bell
7 28
8 QED
9 修学旅行夜行列車南国音楽
10 テネシー・ワルツ(中納良恵)
11 〜Midnight Dejavu〜色彩のブルース(EGO-WRAPPIN')
12 Nicked Dance
13 水影
14 メドレー(チョコレート粉砕工場〜アンダーソンの庭〜Coconut Basket)
15 Acoustic eel
16 課外授業
17 時をかける少女(原田知世)
18 ムーン・リバー(原田知世)
19 マルセルでさえも
20 誰も知らない
21 My Favorite Things(越智ブラザース)
22 夏の理由(高中正義)
23 NDD-Night Dizzy Dance(高中正義)
24 闇のシダール(越智ブラザース、EGO-WRAPPIN')
anc1. 放課後の音楽室
anc2. シンコペイテッド・クロック

MCは、もっぱらチチ松村さんの役割である。元々フォークシンガーでもあったチチさんの温かい声は、聞いていてとても和む。はじまりははじめから、と最初のゲスト、元ちとせさんが紹介された。僕は全くノーチェックで知らなかったが、今回の記念ライブでは、5組ものゲストが登場するのだった。最初のゲスト、元ちとせさんは沖縄の人かと思っていたら、奄美大島の出身。独特の節回しがあまり好みではないが、ゴンチチとの共演は、とてもよかった。ゲストの話でいうと、次に登場した中納良恵さんはEGO-WRAPPIM'のボーカルで、「テネシー・ワルツ」を歌った。この歌を聴いて反射的に思い出すのが中学か高校の頃に見ていた水曜ロードショーだか金曜ロードショーのCM。記憶は相当あいまいだが、その洋酒だったかのCMで流れるこの曲を聴いて、何ともいえぬ郷愁に心が揺さぶられた印象は鮮烈に残っている。EGO-WRAPPIN'も名前はよく聞くが、音楽を聴くのは初めてだった。チチさんが、ジャズのような昭和歌謡のような…と説明していたとおりの雰囲気だった。ゲストというのは徐々に著名人になっていくもので、次は原田知世さんだった。この人も案外、息の長い芸能人である。今回は大ヒットした「時をかける少女」とスタンダードの名曲「ムーン・リバー」を歌ったが、少し前、深夜のFMから流れてきたpupaの曲がよかったなぁ(残念ながら曲名を忘れてしまったが…)。さて、いよいよ5人目のゲストは、ど派手な衣装で登場した高中正義さんだった。すでに還暦を過ぎているということに会場がどよめく。ゴンチチの二人も還暦とは思えないが、高中さんはさらに別格という感じ。話はなんだか的を射ないのだが、ギターがそれを上回って冗舌なのだから、それはそれですばらしいぞ、と思った。
歌がないせいもあるが、ゴンチチの曲名はなかなか覚えられない。今回のセット・リストを見ても、どんな曲だったかまるで思い出せないのだが、大抵は知っていた。アンコールで「僕たちの代表曲です」と紹介があった「放課後の音楽室」、これはやはり断トツでよい。世界で唯一ゴンチチが奏でる音、メロディ、という感じの曲に涙腺が緩む。やっぱり来てよかったなぁと心底満足できるライブだった。ゴンチチのライブもいつもハズレがない。
今回、入場者全員に配布されたのが、特性の日本手ぬぐい(写真左)と様々な人からのお祝いコメントが載ったパンフ(写真右)。ちなみにYOUさんのコメントは、こんな感じだった。
「ゴンチチ様
このたびは、おめでとうございます。ご無沙汰しております。
やれ、若い者が結婚した。やれ、産まれた。やれ、何度目だ。と、幸せが、スタート、する知らせはもちろんめでたいのですが、継続、これは勲章に値する、喜びであり、後輩の、誇りであります。
お二人の奏を、いつまでも聴いていられる我々って、幸せです。」
う〜ん、さりげなくファンの気持ちを代表するようなコメント、いいなと思いました。
先日、新聞で思想家・武道家内田樹氏の言葉が心に突き刺さった。理想を高らかにうたうのは大切だけど、現実的な議論をすることが、成熟した大人の態度では、と問いかける記者に対し、「それのどこが『大人の態度』なんです?人間は理想を掲げ、現実と理想を折り合わせることで集団を統合してきた。到達すべき理想がなければ現実をどう設計したらいいかわかるはずがない。(中略)。いま金をもっている人間、いま権力を持っている人間が『現実的な人間』であり、いま金のない人間、権力のない人間は現実の理解に失敗しているせいでそうなっているのだから、黙って彼らに従うべきだと、そう言うのですか?」
ゴンチチは、理想を追求しつづける音楽家である。そして、理想を追い求めるその姿勢にこそ、人間が生きていく価値があるのだと、改めて思った。