若い頃、仕事で度々通った大手町。久しぶりに歩く休日のオフィス街は、独特の静けさに包まれていた。NYの摩天楼にも圧倒されたが、大手町も負けてないなぁと思った。大きく美しいビル群は、大企業のステイタス・シンボルになっているに違いない。多くの有能な若者らが、ここを目指していると思うと、頼もしい気もする。ガンバレ、ニッポン!ビル群の後方に見える皇居では、2年後の生前退位に向けて準備が進められていることだろう。遠いアメリカの地では、まさにこの日、トランプ新大統領が就任演説を行った。大きな時代のうねりが感じられる2017年の始まりである。

 よみうり大手町ホールは、読売新聞社の本社に併設されている。日本一の発行部数を誇る会社だけに、立派な建物である。ゴンチチも初めてらしいが、こういう機会がなければ、訪れることもないだろう。会場に入ると、木材の香りがしてリラックスできた。会場の大部分は、60代以上の高齢者のようだった。高齢者といっても、近頃の60代は、一昔前の中高年くらいハツラツとしている。ゴンチチの二人も、63と62である。出会って39年、と言っていた。一挙手一投足にあ・うんの呼吸が感じられる二人である。

 1曲目は、「フローティング・ベル」。チチ松村氏がクラゲ好きのせいだろう、海中をさまようクラゲにインスパイアーされたタイトルなのだと思う。
いつものようにチチ松村氏の軽妙なトーク、時々、熱く語りだすゴンザレス三上氏の謎な語りが楽しい。三上氏がいつも言うのが、「早く家に帰りたい」。今回は、2曲目「スカボローフェア」の演奏がとてもよかったので、早く家に帰って余韻に浸りたいと言っていた(笑)。そして、喫茶店を開きたいという夢の話も可笑しかった。完全予約制の喫茶店で、外から見えないようにタイヤが付いていて、お客さんが飲み終わるタイミングで自宅まで送り届けるシステムらしい。「それじゃあ、お客さんは一人しか入れないじゃないですか?」というチチさんのツッコミに対して、だから完全予約制なんですよと返す。二人の呼吸はいつもピッタリである。

 前半1時間弱、20分休憩、後半1時間弱であった。彼らの音楽を一言でいえば、快適音楽である。メロディラインやゴンザレスさんの奏法が独特のゴンチチ・サウンドを作っていて、とても気持ちいい。ギターを弾かないのでよくわからないが、演奏が難しい曲とそうでもない曲があって、難易度の高い曲がうまく弾けると満足そうだった。アンコールは、やはり「放課後の音楽室」。これを聴くと、小学生から中学生の頃を思い出す。あの頃思い描いていた漠然とした未来を今、生きている不思議さと有り難さを思っている。

♪Guest Musician
桑野聖(Violin)
堀沢真己(Cello)


♪ゴンチチ 新春生春三昧 2017
よみうり大手町ホール
2017年1月21日(土)19:00-21:10/12列1番