


FIFAサッカーワールドカップ(11月20日~12月18日)は、29年前の「ドーハの悲劇」でピッチにいた森保選手(MF)が今度は監督としてカタール大会に出場し、見事「ドーハの歓喜」にして幕を閉じた。目標のベスト8には届かなかったが、1次リーグでドイツ、スペインに相次いで逆転勝利し、世界を驚かせ、日本人に勇気を与えてくれた。カタールまで応援に行った日本人サポーターも多く、有給休暇2週間、旅費50万円なんて言ってる人もいて、その熱意に感心してしまった。そんな興奮冷めやらぬ、というより、突然楽しみがなくなった穴を埋めるかのようにGLIM
SPANKYのライブへと出かけた。
勿論、期待していたが、その期待を裏切らない満足度100%のライブだった。5月の日比谷野音に続き、今年2回目になるが、やはり二人ともよくしゃべった!個人的にMCが多いライブは満足感が高いのだが、今回もそのジンクスに間違いなかった。今回のツアーは、8月にリリースされた6thアルバム「Into
The Time Hole」を冠したものだったので、タイトルの意味について松尾レミから説明があった。「音楽は、聴く人それぞれの受け止め方で聴いてもらうものだけど、作った時のまま時間が止まっているものでもあって、それをのぞき窓から覗いているようなイメージでアルバムを作った」と松尾レミが饒舌に語っていた。2018年リリースの4thアルバム「LOOKING
FOR THE MAGIC」についての思い出話もあった。プライベートでLAに旅行した松尾レミがそのときに感じたインスピレーションを元に書いたのがタイトル曲「LOOKING
FOR THE MAGIC」で、折角だから、LAでレコーディングしたいと言って実現したとのこと。しかも、自分たちが憧れていたミュージシャンに演奏してもらえた大切な歌ってことだった。そういう背景を知らなくても音楽は楽しめるけど、知ってる方がより身近に親しみを感じて、音楽の世界に入りこめると僕は思う。一方、亀本寛貴は、今年購入した赤いギブソン・レスポールについて語っていた。50年以上前のギターが未だに最上であるってことへのリスペクトと疑問、それは過去の素晴らしい音楽に対しても同じで、過去へのリスペクトとともに新しい楽曲を生み出したいという気持ちがあることを熱く語った。謙虚であり、チャレンジャーであるところが二人に共通した価値観であり、僕がGLIM
SPANKYに共感する部分でもある。
今日明日のラスト2デイズでツアーが終わってしまう。できればもう1周したいと松尾レミが言っていた。心底、ライブが好きなのだ。歌う幸せが聴いている側にも伝わってくる。時間調整のような退屈な楽曲は1つもない。文字通りあっという間に2時間が過ぎて、ずっとこの雰囲気に浸っていたい気持ちになった。彼、彼女らの「仕事ぶり」を見ていると、自分も自分の仕事を頑張らねばという気持ちになった。本編ラストで演奏された「形ないもの」のときは、長野から上京してきた頃のエピソードが語られた。何度も演奏した「下北沢GARAGE」が昨年、閉店してしまい、コロナ禍で色々なものがなくなってしまったからこそ、こういう風にみんなと一緒にライブをやれる大切さもより強く感じられるようになった。コロナのあとはむしろ以前よりもっとよくなるというような思いで作ったというメッセージを込めて、「形ないもの」が演奏された。♪「好きな場所がまた一つ 壊されてくけど 忘れない あのライトが僕ら照らしていたこと」という歌詞は、そんな思い出から書かれていたのだ。この歌詞のすぐ前にはこう歌われている。♪「どんな季節も気付けば過ぎて 尊さはやっと後でわかる」。そしてこの歌は、♪「平凡な特別を抱きしめていたいよ ずっと壊されない様な 形ないものを」で締められる。改めて名曲だなと思う。
アンコールまで拍手が鳴り止まなかった。そして、アンコールは、ウイスキーの歌で酔わせてくれた。15歳で結成したGLIM SPANKYは、上京時に2名が脱退してしまい、自分と亀の二人だけでサポートメンバーもいなかったので、アコースティックの弾き語りライブをやることも多かったという。お客さんが数名しかいないというとき、「お客さんが一人でも1000人の前で歌う時でも同じように歌おうと自信をもつようにしていた」と当時の心境を振り返る。松尾レミの歌は、心に響く。歌いたいことがしっかり言葉になっていて、それを歌う力があって、亀本のギターが邪魔しないように盛り立てるように寄り添うから、1曲1曲すべてが愛おしく感じられる。心の底から楽しく感じられる時間だった。きっと今、自分が一番聴きたい音楽なんだろうなって思いながら、2度とない貴重な時間を満喫した。
■メンバー
Vo・G:松尾レミ
G:亀本寛貴
B:栗原大
Key:中込陽大
Dr:○○
set list(他の公演を参考に記載)
1. シグナルはいらない
2. ドレスを切り裂いて
3. 褒めろよ
4. HEY MY GIRL FRIEND!!
5. It's A Sunny Day
6. 美しい棘
7. Breaking Down Blues
8. 時代のヒーロー
9. Looking For The Magic~Dear Prudence(The Beatles)
10. Velvet Theater
11. レイトショーへと
12. 怒りをくれよ
13. ワイルド・サイドを行け
14. 愚か者たち
15. 不幸アレ(新曲)
16. NEXT ONE
17. Suger/Plum/Fairy
18. 形ないもの
EN.
19. ウイスキーが、お好きでしょ
20. By Myself Again
21. 大人になったら
22. リアル鬼ごっこ
♪GLIM SPANKY
~Into The Time Hole Tour 2022~
昭和女子大学 人見記念講堂
2022年12月20日(火)19:05-21:15/1階18列6番