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「佐賀のがばいばあちゃん」
著者:島田洋七
なんとなくぼんやりとした閉塞感が息苦しく思えるときがある。ストレス社会だといわれて久しいし、メンタルで療養休暇をとるケースも珍しいことではなくなった。世界を見渡しても、暗いニュースの方が目についてしまう。2006年にアル・ゴア氏が「不都合な真実」で警告を発した地球環境の異変も気になるし、平和の祭典であるはずの2008年・北京オリンピックの最中にも、チベットやグルジアなどで戦乱が続き、イランでは核の問題がくすぶり続けている。他にももっともっと多くの問題が山積しているように思える。あーあ、とため息が漏れる。
そんなときに、この本はいい!佐賀のがばいばあちゃんは途轍もなく元気で、明るくて、前向きだ。著者の島田洋七さんは家庭の都合で、小学2年生のときに、佐賀の祖母・がばいばあちゃんの家にあずけられた。生まれ育った広島を離れ、最愛の母と別れるシーンには涙がでる。「日本昔話に出てくるような茅葺きのボロ家」で小さい頃にあったことがあるらしいばあちゃんと二人で暮らすことになる。昭広少年(洋七)の不安と孤独がひしひしと伝わってくるのだが、ばあちゃんの底抜けの明るさは痛快だ!川に流れてくる野菜を拾って食べる貧しさを知って不安になる昭広少年に、ばあちゃんは言う。「貧乏には二通りある。暗い貧乏と明るい貧乏。うちは明るい貧乏だからよか。それも、最近貧乏になったのと違うから、心配せんでもよか。自信を持ちなさい。うちは、先祖代々貧乏だから。」
著者がプロローグで書いている。
「『今、世の中はひどい不景気だ』とみんなは言うけれど、何のことはない。昔に戻っただけだと、俺は思う。変わってしまったのは、人間の方だ。」そうかもしれないな、と思う。
がばいばあちゃんには、がばい(=すごい)名言がたくさんある。
「時計が左に回ったら、壊れたと思って捨てられる。人間も昔を振り返らず、前へ前へと進め!」
「ちっちゃい花でも、アリから見たらでかい」
「鰯を食べてるからって、貧乏じゃない。昔の人が鰯を見て、鯛と名前をつけていたら、鯛は鰯ばい!」
「人間は死ぬまで夢をもて!その夢が叶わなくても、しょせん夢だから。」これは、著者が一番好きな言葉だそうだ。
この本には、笑える話や感動的なエピソードがたくさんでてきて、読んでるうちにどんどん元気が湧いてくる。人間の「いい気持ち」って、伝染するんだな〜って、改めて思う。ありがたい本です。
(徳間文庫)
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