OKUDA TAMIO
Fantastic Tour 08
よこすか芸術劇場
20080209
今年1月に発売された3年ぶり、9作目のフルアルバム、「Fantastic OT9」を引っさげてのツアーがいよいよ始まった。民生はユニコーン解散後の94年、「愛のために」でソロデビュー。「野ばら」「イージュー☆ライダー」「CUSTOM」「The standard」など名曲の数々を世に出してきた。そして10年、「LION」を最後にメンバーチェンジがあり、05年の「comp」から現在のメンバーになって、今作「Fantastic OT9」が2作目になる。メンバーチェンジでギターが1名減り、にもかかわらず音はより重く、分厚くなった。奥田民生(vo.gui)、小原礼(b)、湊雅史(ds)、斉藤有太(key)の音楽は、渋いおやじならではのかっこよさがある、と思う。まだ若かった民生が、「いつかは燻し銀のようなギターを弾きたい」と語っていたことがあったが、年齢的にも実力的にもそうなってきたのだ。
18時10分、ざわついた会場の照明が落ちると、ライブ開始直前特有の張りつめたような静寂が訪れ、観客の視線がステージ一点に注がれる。薄暗いステージにメンバー4人の黒い影が現れると、会場がうわ〜と湧き上がる。「たみお〜!」「タミオ−!」と会場から黄色い声やどす黒い声が飛び交う中、アルバムと同じく元気な「イナビカリ」から幕を開けた。つづく「スルドクサイナラ」「フロンティアのパイオニア」とアルバムと同じ曲順である。だいぶ前だが、アルバムはライブをやるために作ってるって言ってたことがあった。あまり凝った曲にすると演奏の時苦労するから簡単にしてるんだとも(笑)。手抜きのようだが、考えてみれば、アルバムの曲順も相当に考えられてるはずで、その曲順はライブでやってもちょうどいいはずである。
「スカのみなさん、元気ですか?元気じゃないスカ?」といつものとぼけたMCである。「スカの海の潜水艦って怖くないスカ?」「広島にも潜水艦いるんですよ。子供の頃、海で泳いでいて、突然目の前に出てきたときは怖かったですね。謎の物体が現れて、そう、ネッシーじゃなくてね、ヒッシー!ヒッシーですよ!みなさんは、必死で生きてますか?」というような、捉えどころのない、それほど面白くもない話がだらだら続きつつ、次の曲へと入っていった。
ユニコーン時代の曲なども挟みつつ、新曲を中心に演奏は続いていたが、途中でアンプが壊れるアクシデントも発生した。民生がアンプの調整をしてる間、小原礼さんが間を持たせることになり、「みなさんの肌は水をはじきますか?」という話でしばらくつないだが、それも限界が来て、斉藤ユータさんに話を振ったが、ユータさんが乗ってこなくて困ってるうちに、アンプの音が出るようになって民生が戻ってきた。「別に話はできるんですけどね!」ってのが、可笑しかった。
選曲は、「野ばら」や「イージュー☆ライダー」「マシマロ」「ギブミークッキー」などいろんなアルバムからピックアップされていたが、ライブの定番、「手紙」や「CUSTOM」、そしてアンコールで必ずやっていた「BEEF」はやらなかった。聴きたい歌がたくさんあったが、限られた時間では全部を聴くことはできない。それでも、今回のライブは、途中にアクシデントがあったとはいえ、2時間半もあった。曲目が多いというより、途中のMCがわりと長めだったせいかもしれないが…。
今回のアルバムについて、「今までで一番、録音がうまくいった」とインタビューで民生が言ってたが、それだけ満足度の高い仕上がりなのかもしれない。聴いてても素人にはよくわからないのだが、ファンとしては、ただただ新しい曲が生まれ、それをライブで直に聴けることで幸せなのである。相変わらず、変な曲名、たとえば「スルドクサイナラ」とか「ちばしって」とかが多かったり、歌詞の意味もよくわからないものも多いのだが、でも、知らないうちに心に染みこんでいたりする。「なんでこうもっといろいろ すんなりサラッとできない 首から上の予想を 首から下はうらぎる」とつぶやいて、ふと、涙がにじんだりする。楽してるような顔で必死(ヒッシー)だったり、遊んでるようで真剣だったり、相変わらずいい感じである。きっとまた来年のツアーも行こう!!
