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EAGLES FAREWELL T
2004/10/30
東京ドーム
23ゲート1階3塁側35通路47列244番
外は雨。後楽園球場時代なら天候も気になったが、東京ドームになってからは、天気は関係ない。しかし、座席に着いて唖然とした。1階席の最後尾(すぐ後ろでグッズ販売がにぎやかしい。Tシャツ1枚3500円は高いので敬遠)、その席からステージを見ると、人間が「・」にしか見えない。これだからドームは避けたいのだが、今回は東京ドームしか選択肢がなかった(あとで横浜アリーナが追加されたが)。今から10年も前の1993年12月、U2の「ZOO TV TOUR」のときも2階席の後ろの方で、音楽が音楽だけに音がウヮンウヮン回ってしまって最悪だった(あのド派手な舞台装置の生ライブを見れただけでも幸運だが)。そうそうU2が2005年からワールドツアーを始めるというニュースもある。今から待ち遠しい。そんな苦い想い出の東京ドームだが、スタジアム・ライブの醍醐味というものもなくはない。大音量の音楽と共に数万人の観客が一体となって大波のようにうねるという体験は、小さなライブハウスとは全く違ったものではある。
さて、イーグルス・フェアウェル・ツアー。「Farewell」とは、「Good bye」である。「さよならツアー」というわけだが、これまでも解散したり、活動再開したりを繰り返してきたから、これで最後かはわからない。彼らの洒落だろうというのが評論家の見方である。だいたい「T」ということだから、きっと「U」や「V」もあるのだろう。ずっと解散コンサートを続けるってのもかなり可笑しい(笑)。イーグルスというと、ドン・ヘンリーとグレン・フライが中心だが、あとはメンバーチェンジがあるからいつもわからなくなる。今回のメンバーは4名だ(ほかに8名のバッグ・ミュージシャンが加わる)。
Glenn Frey [gui・key・vo]
Don Henley [dr・per・gui・vo]
Joe Walsh [gui・key・vo]
Timothy B. Schmit [bs・vo]
メンバー全員が曲を書き、歌い、複数の楽器を演奏する。共作も多いので、どれが誰の曲だか一概にわからない。たとえば、デビュー曲の「テイク・イット・イージー」は、同じアパートに住んでいたジャクソン・ブラウンが棚上げにしていた曲が元。気に入ったグレンが少し歌入れをして完成したそうだ。「ホテル・カリフォルニア」は、ドン・フェルダー(今はメンバーじゃない?)が作ったデモ・テープを元に、ドン・ヘンリーとグレン・フライが一緒に書いたそうだ。仮タイトルが「メキシカン・レゲエ」というから不思議である。
18:05。会場が暗くなった。自分の席からは、メンバーが出てきたのかどうか全然見えないのだが、アリーナがワァ〜と盛り上がってるので、取りあえず拍手するという感じ。1曲目は「ロング・ラン」。「昔はずいぶん焦っていたし、心配事もたくさんあった…そう、じっくりと時間をかけてやればいい、先は長いんだ」という歌詞である。これが今のイーグルスの心境なのかな、という幕開け。2曲目が「ニュー・キッド・イン・タウン」。いきなり大好きなナンバーだ。もう何回聴いたか知れない。当時まだレコードだった「ホテル・カリフォルニア(1976)」の中でも特に好きな曲。
僕が洋楽を聴き始めた1980年頃は、ちょうどイーグルスが解散するかしないかの頃だ。当時通っていた中学校では、昼休みや放課後の終わりの合図にビリー・ジョエルの「オネスティ」やビートルズの「ロング&ワイディングロード」が使われていて、日々の生活の中に自然と洋楽が入ってきていた。初めて洋楽のアルバムを買ったのは、ジャーニーの「エスケイプ」。両親のいる居間で大音量でかけてひんしゅくをかったのを覚えている。当時は、1枚のアルバムを何度も何度も繰り返し聴いて、どんな曲でも口ずさめるまで聴いていた。イーグルスのアルバムも全部聴いていた。「なんで外国人はこんなに高い声が出るのだろう?」と不思議だった。そして、今、ステージで演奏される曲も、まさにレコードと同じだ。当時と変わらぬ演奏を聴きながら、20年前にタイムスリップしてしまう。T・B.シュミットが歌う「言い出せなくて/I can't tell you why」に涙がにじんできた…。ドンもグレンもみんな還暦前なのだ(とても信じられない!)。声は全然衰えてない。美しいハーモニーは健在である!間にドン・ヘンリーやグレン・フライがソロになってからの曲も演奏された。僕がラジオ日本の「全米トップ40」を毎週ノートにメモしていた頃で、MTVなんかもよく見ていた頃である。まさかホンモノを見ることになるとは、とても感慨深い。
ちょうど1時間が経過して、10分ほどの休憩があった。もうヒット曲、代表曲の連続でアッという間だった。イーグルス来日のニュースをFMで聞いたときは、「取りあえずイーグルスだから行くか」くらいの軽い気持ちだったが、とんでもなかった。こんなにいいとは…。
休憩後の1曲目は、グレン・フライが歌う「テキーラ・サンライズ」だった。どの曲よりも好きな曲だ。メンバー全員が前に並んでいた。全員、ギターを弾く。次から次へといろんな曲をやった。ボーカルが変わったり、楽器が変わったりしながら、とてもいい感じで時間が流れていった。そう、まるで「時は流れて/Wasted time」のように…。
そして、8時半頃。一度、メンバーが袖に帰り、その後、サックスのソロ演奏があった。再び、袖から出てきたギターリストのステュアート・スミスが白い12弦ギターを抱えている。そして、  「ホテル・カリフォルニア」のイントロが始まった…。
「こんなにも哀しく美しいメロディと音色があるのだろうか?」僕はこの架空のホテルのモデルとなった「ビバリーヒルズ・ホテル」に行ったときのことやそのあとで見たサンタモニカの美しいサンセット、楽しかったアメリカ一人旅のこと、いわゆる「青春の頃」をあれこれ想い出していた。息が詰まりそうな感動、素晴らしいひとときだった。
3時間のライブも終演が近づいていた。アンコールの拍手のあと、グレンが「ずいぶんと昔の曲だよ…」と言って始まったのが「テイク・イット・イージー」だった。CDで聴くのと同じはずなのに、全く違うグルーヴにドーム全体がワァ〜と怒濤の盛り上りに包まれた。そして、続くラストナンバーが「ならず者/Desperado」。ドン・ヘンリーの独唱スタイルから始まるなり、背筋がゾヮ〜となり、涙がにじむ。まだ、こんな名曲があったか。そうか、この曲で終わりなのか。すごいな。感動だな。最高だな。久しぶりにスケールの大きなライブを観て、言葉にできない感動で胸がいっぱいになっていた。
「フェアウェルU」が実現するのかな?今は、ちょっと心配になっている。またいつか鷲が翼を広げて、来日して欲しい。「ありがとう」の感動でいっぱいになった。
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