「ドリアン魂」
 
 
著者:ドリアン助川
 
 
 はじめは書き下ろしエッセイ「俺の辞書にこんな文字はいらねえ」。その1番目が「正義」。「喧嘩が始まるのは、その双方に正義があるからだ」「原子爆弾は戦争を終結させた正義の爆弾」「正義があるからベトナムに枯葉剤をまけるんだ」と続いて、「だから俺はまず正義を信じるという概念を否定したい。それが俺の正義だ」と最後は逆説的に正義で締めくくられる。
 あいだに「叫ぶ詩人の会」の詩集がある。「ぎっこんばったん」とか「汚染蟹(よごれがに)」に感動したが、心にひっかかる詩は読む人それぞれだろうと思う。いろんな詩がある。
 おわりは再び書き下ろしエッセー「暗黒日記」。文字どおり暗黒の悲惨な日々を綴った日記である。過去のことと知っているから読めるようなかなり悲惨な内容。
 人生訓を集めたような本を読みあさった時期があったが、いつしか無意味に思えてやめた。結局、人の話を千度きいても自分の身には付かないのだ。文字どおり自分の体で体験しないと真実は掴めない。体験しながら、ときどき確認する。そういうときに、「ドリアン魂」を開くのがいい。
 
(小学館文庫)