犬も歩けば棒に
 
 
 途轍もなく漠然とした絵を、心の中にもつ。
言葉に置き換えられない捉えどころのない理想にもかかわらず、いつも心のどこかに在る。
在る、にもかかわらず、ときどき見失う。
 
 ぬかるんだ地面に足元を滑らせ、顔に泥が跳ねる。
その泥、水を拭おうとして、手に付いた汚れが目の中にまで入り込みザラザラ痛む。
目の奥に痛みを感じながら、これが本当に自分の進む道なのか迷いながら悩みながらも、どうにか薄目を開けるとやはり、向こうにはあの絵が見える。ぼんやりと形のない絵を、心の目は見る。
 
 この道を先に歩いていった人もいれば、他の道を行く人もいた。幸せを掴んだ者もいれば、不幸せを掴んだ者もいた。本人のせいだけではないが、本人にまるで責任がないわけでもなく、どこかの道に正解があるわけでもないが、歩けば歩いた道には必ず何か答が落ちてくる。
 
 怖いことだ。だから、冒険。
「棒犬」と書くと、なにか可笑しい。