

♪bird
波形Live!
ビルボードライブ東京
2019年4月19日(木)18:30-19:50/5B-6
今年デビュー20周年になるbirdは、大沢伸一に見いだされ、彼女の歌声でなければ表現できない数々の名曲を残している。しかし、3作目~5作目までは田島貴男プロデュースに変わった。その5作目「vacation」(04)に収録されている「ハイビスカス」をたまたまFMラジオで聴いて僕は、birdを知ったような記憶がある。渋谷のHMVで「vercation」のジャケットを眺めながら、買うか止めようかしばし逡巡していたことをよく覚えている。同じ頃、宮沢和史の「SPIRITEK」(04)でも表題作をbirdと宮沢さんが歌っていて、元々オリジナル・ラブ(田島貴男)やブーム(宮沢和史)のファンだった僕にとって、birdファンになるのは必然だったように思える。ちなみに「SPIRITEK」のデュエットをbirdにリクエストした理由を「実力があり、媚びずに自分の音楽を追求しているところがかっこいい」と宮沢さんが語っている。権力、権威、同調圧力に媚びずに自分を貫くことは、僕にとっても永遠のテーマ。僕が憧れ、恋をしてしまうのは、大抵、そんな生き方をしている人である。
大沢、田島に続く第三のプロデューサーが冨田恵一(冨田ラボ)である。birdと冨田ラボとの共同作業は、3rdアルバム「極上ハイブリッド」(02)に収録されている「うらら」が最初で、6thアルバム「BREATH」(06)と10thアルバム「Lush」(15)に続いて「波形」が3作目のアルバムになる。「BREATH」も大好きなアルバムだが、「波形」は前作「Lush」と似ていて、「うらら」や「BREATH」とは違う雰囲気を感じる。僕は後者の方が好みなので、「波形」は実のところあまり聴いてない。大きな違いは、サウンドだろうか。例えとしていいかわからないが、いきものがかりとPerfumeで比べると、「BREATH」はいきものがかりで、「波形」はPerfumeって感じだ。前者が暖色なら、後者は寒色。前者が有機なら、後者は無機。前者が地方なら、後者が都会。あくまで個人的な印象だけど…。
ライブは、「波形」の収録曲を中心に演奏された。birdはMCを得意としているので、おしゃべりも楽しみではあるが、この日は比較的抑え気味だった気がする。少し前にスペンサー・ジョンソン著「チーズはどこへ消えた?」を読んだ。平易な物語であるが故に、人によって読み方に自由度がある本だ。「1時間で読めて10年間役に立つ」というコピーが本当かどうか、10年経過しないとわからないが(笑)、少なくともこの半月ほどは、度々本の内容を思い出し、幾人かに話もした。この本の肝は、「変化」の意味づけだろう。ダーウィンの有名な言葉「最も強い者がが生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。」と、言ってることは同じかもしれない。似たようなことを多くの人が言っているわけで、至言、真理といっていいいだろう。
「変化」はしかし、やっぱり、難しい。現状を捨てるリスクを背負わなければ変化できないから。いつかチーズは食べ尽くされ、あるいは古くなってしまうものだが、そのタイミングの見極めが容易ではない。頭でっかちな人間の方が単純なネズミよりも却って悩んでしまい決心できない図式も、象徴的で納得得心である。実に多くの人が(自分を含めて)、自分の安定、地位、利益、評価、プライド、その類いの諸々が脅かされそうになると、途端に動揺してしまう。周囲の人が密かに引いてしまうほど、声を荒げキレる人もいる。大の大人がみっともないと思うが、それくらい「変化」とは、恐怖心を生み出すものなのだ。「チーズはどこに消えた?」では、新たなチーズ探しにでかけた小人のホーが、現状は何一つ変わってないのに気持ちが晴れ晴れとしてしまうところがツボだった。この6月、職場の人事異動があって、大事なメンバーが何人も自分の元を去ってしまった。この「変化」をどう受け入れようかと思うたびに「チーズ」のことを思い出していた。そして、この「変化」をよりいい方向にすることを考えるようにしていたら、今まで以上にワクワクした気持ちになってきた。だから、birdが変わっていくことも、きっと、必要なことなんだろうって話につなげて、結びとしたい(笑)。