at Morioka

 「あまロス」という言葉があると聞く。「あまちゃんロス症候群」の略である。常に20%台の高視聴率をキープした人気ドラマだが、視聴率でいえば「半沢直樹」の方がさらに高い。これはこれで一種の社会現象と言えるが、「あまちゃん」は面白さとは別に、強烈な親近感を感じて見られていたようだ。ある専門家によれば、「疑似家族」のような親しみやすさが喪失感を呼び起こす可能性があるという。土曜日しか見てなかった自分でさえ、軽い淋しさを感じている。

 半年間の放映もいよいよ最終週に入ってからは録画して毎晩見ていたが、毎日が最終回というくらいの盛り上がりなので、さて本当のラストはどう結ぶのかという興味があった。夏ばっぱ(宮本信子)、春子(小泉今日子)、アキ(能年玲奈)の3代を縦軸にした物語だからその3人に焦点を当てるのが順当と思えたが、宮藤官九郎の脚本は違った。震災の影響でまだ未開通の北鉄の線路を歩き出すアキとユイ(橋本愛)がトンネルの向こう側に見える目映い光の中へと溶け込んでいくラスト。エンディングではお馴染みのオープニングテーマが流れ、いつもはアキが走る白い灯台のある防波堤を、ユイと一緒に走っていく。まだ震災復興の最中にある岩手を舞台にしたこの物語は、明るい未来を若い二人に託して終わる。強い共感、そして「おしまい」の文字の後に押し寄せてくる淋しさ。最後の最後までよくできていたと思う。拍手!

 「あまちゃん」の影響で、北三陸にたくさんの観光客が訪れているという。日本人、いや人間のそういうところは、悪くないと思う。お祭り気分で大騒ぎして、熱が冷めると忘れ去る。そうやって日常と非日常に折り合いをつけているのだろう。人は少しくらいバカげている方が楽しいし、少々忘れっぽい方が可愛げがあると思う。本当に大事なことは忘れないものだろうし。思えば子供の頃は、よく喪失感を味わった。そのときにできた穴を埋める断片集めを、今までもこれからもずっと続けていくのかもしれない。

                             2013.9.28sat