前にもどこかに書いたけど、僕が洋楽を聴き始めたキッカケは、中学の昼休み終了時に流れるビリー・ジョエルの「Honesty」であり、放課後の下校時に流れるビートルズの「The
Long and Winding Road」だった。小学生までは歌謡曲かアニソンくらいしか聴いてなかったから、この2曲で急に世界が広がったのだった。何しろ、洋楽である。少し大人びた気分を味わってドキドキする年頃に洋楽を聴くようになったのは、その後の自分の嗜好や思考に意外に大きく影響したのかな、と今にして思う。当時は、「うわ〜、英語で歌ってるよ。外人はすげえなぁ」くらいな感じだったと思うけど(笑)。ホール&オーツの「Private
Eyes」が盛んにラジオから流れていたのは、中3の頃だった。ホール&オーツが最も売れていた時期で、高校に入ってからも「Maneater」や「One
on One」など続けざまに大ヒットを記録していた。大学に入ると、僕はそれまでほど洋楽を聴かなくなり、ホール&オーツの方もヒット量産時代は終わっていた。人気も流行も人の好みも、四季のように常に移り変わるものなのだ。
4年ぶりの来日公演である。武道館は、およそ50代以上の人で埋まっていた。みんな「若者」に戻って絶叫し、歌い、歓声をあげて盛り上がっていた。すぐ後ろにいた「青年」は、ほとんどの歌詞を暗記していて、大半を恐ろしく大きな声で歌っていた。コアなファンなのだろう。「その気持ち、わかる!」と、微笑ましくなった。1曲目の「Mneater」は4年前と同じである。というか、やる曲がほとんど同じ。観客が聴きたい公約数となると、同じような選曲になるのだろう。別にオッケーである!ホール&オーツの曲を聴いていると、自然と中高校生の頃が思い出される。「ずいぶん遠くまで来たなぁ」という感慨がこみ上げ、ちょっと涙腺が緩んだ。ダリル・ホールを見ていて誰かに似ているなと頭の隅で考えていて、やっとわかったのは、意外にもエミリー・ブラントだった。たぶん誰一人賛同する人はいないだろう、自分で驚いたくらいだ(笑)。僕が思う「似ている」は、他人に訊くとかなりの確率で似てない場合が多いが、顔の認識の仕方がどこか違っているのかもしれない。顔と声には相関があるから、エミリー・ブラント似のダリル・ホールの声が好きなのは当然だってことで、実際、この声でなければ、それほどファンではなかったように思う。
ちょうど来日公演の少し前、土曜日の昼を挟んでFMヨコハマでオンエア中の「Travelin' Light」(DJ:畠山美由紀)で、コーナーコメンテイターのKARL南澤さんがホール&オーツについて、「ずっと売れなくて、それでもホントに粘り強く活動を続けていて、ついにブレークしたグループです」と紹介していて、自分のことでもないのに嬉しくなった。最新のインタビューでダリル・ホールは、次のようにコメントしている。「僕らはトラディショナルなアーチストだ。僕らは芸術を大切に思っている。これは自分たちを表現するやり方だ。やらないではいられない衝動なんだ。僕らは一般向けに曲を書いているんじゃない。人が買ってくれるかな?とか、気に入ってもらえてたくさん売れるのか等、僕にはどうでもいいんだよ。そんなのが自分にとって重要だったことはこれまでもまったくなかった。関心がないね。だから僕の思う成功や失敗は、他の人が浮き沈みとして見なすものとはまったく関係がない。それは僕が作品を芸術的に成功したと思えるか、成功しなかったと思うか次第なんだ。」成功したからそんなことが言えるんだろう!という突っ込みも可能だが(笑)、一部の例外を除けば、やはり長きにわたり第一線で活躍している人のマインドは、こういう純なものではないかと思う。たまたま時代の波に乗ってヒットすることもあるだろうけど、その類いは長続きしない。俳優でもタレントでも企業でも、才能を使い切り、絶え間ない努力の積み重ね、謙虚さ、強い信念が絶対に必須だろう。
ホール&オーツのライブは短い!あと10曲くらいはやってくれてもいいのに、と思う。この中で個人的に好きなのは、「Kiss on my list」と「Sara
smile」が筆頭で、次いで「Did it in a minute」「Rich girl」「I can't go for that」ってとこだろうか。前回も今回もやらなかったが、「One
on one」があれば、これが1番か2番手になるだろう。スモーキー・ロビンソンやテンプテーションズに強い影響を受け、60年代のソウル・ミュージックをルーツにロックン・ソウルという独自のカテゴリーを開拓してきたホール&オーツは、これからもきっとマイペースに活動を続けていくだろう。自分が思う「成功」に近づいていくために…。
Set List
01 Maneater
02 Out of Touch
03 Did It in a Minute
04 Say It Isn’t So
05 You’ve Lost That Lovin’ Feelin’
06 Las Vegas Turnaround (The Stewardess Song)
07 She’s Gone
08 Sara Smile
09 Do What You Want, Be What You Are
10 I Can’t Go for That (No Can Do)
encore
11 Rich Girl
12 You Make My Dreams
encore2
13 Kiss on My List
14 Private Eyes

♪Daryl Hall & John Oates
武道館
2015年10月19日(月)19:10-20:40 / 2F-S-S50