ドキュメント24
育児と仕事の絶妙なバランス。24時間ピーンと張りつめた緊張感の中で、ギリギリの綱渡りがエンドレス。心も体も全開のまま、キーキー音をたてて磨り減ってゆく。いつか振り返れば、いちばん輝いているのだろうけど。
5時45分、目覚ましがベルを鳴らすと同時に起きる。急に立ち上がって、心臓がドクドク言う。自称「書斎」にあるパソコンのスイッチを入れ、受信メールを確認する。来てないと、淋しくスイッチを消す。
水で顔を洗う。冷たい水で顔の表皮細胞から起こす。真冬も冷たい水で、顔を洗う。
朝食を軽く、でも必ずとって、皿を洗う。前日分が残っていれば、一緒に洗う。朝食後の「朝飯前」である。
6時40分、息子を起こす。寝惚け眼で「だっこ〜」。
しっかり、抱きしめる。意識的にそうする。俺はお前の味方だぞ。信用してもいいんだぞ。お前は安心して育っていればいいんだぞ。という意味をこめて。
着替え、オムツ交換、朝食、場合によりもう一度オムツ交換。7時10分に出発。
玄関を一歩出るとまず「団子虫」。時間ギリギリでこっちは焦っているが、息子の知ったことではない。怒っても効果はまるでない。むしろ逆に意地になって地面にへばりつくだけのこと。グッと堪えて一緒に団子虫を探す!「団子虫いるかな〜」。そうすると息子も満足して、また歩き出す。そして次に「ありんこ」。これも一緒に眺めているフリをして、「ありんこいるかな〜」と合わせる。やっとのことで車に乗って保育園に着くまでも、雀や石に心奪われる息子をなだめながら、時計との睨み合いが続く。なんとか保育園に着くと、カメに挨拶。その次がカタツムリ。もう電車の出発時刻が迫っているが、力ずくも脅しも効果なし。「よーし、階段へ行こう!」で息子が走り出せば成功。2階のすみれ組まで一気に走り、元気よく先生に挨拶するのを見届けたら、こっちも駅まで猛ダッシュ!
仕事は何が何でも5時までと決めている。すぐに帰っても、保育園に到着するのは6時10分前後。大多数の園児は帰って、息子ひとりのことが多い。
帰りも例のカメとカタツムリにご挨拶。さらに「コッコさん」に葉っぱをあげる。先生も帰り支度なので長居はできない。鶏小屋からひっぺがすように帰る。家に着いてからは、国道脇で自動車を眺める。車種を言ったり、色を言ったり、数えたり、勉強にもなる。ありんこ、団子虫の関所を抜けて家に入るのは、6時半を過ぎてから。ホッとする。
食事は妻が前日に用意したものを一緒に食べる。その後はテレビやビデオを一緒に見たり、洗濯や風呂の用意、ゴミ集めや時々居眠りをして過ごす。
9時前後に妻が帰宅。すぐに風呂に入り、寝室に入るのは10時。息子はひとしきり暴れ回るので、こっちが先に眠ってしまうことも多い。「パパ、寝ちゃった」と独りごちているのを聞いて、可笑しくなることもある。幸せな瞬間である。必死で生きているからこそ、かけがえのない自分の人生だからこその幸せ。