ざざざざ…じわじわじわ…
波の音。複雑であるが単純。
心地よい微風。
遠くの方で聞こえる人の声、鳥のさえずり。
ほのかな薫り。海や樹や草や花の。
時折、人が通り過ぎていく。
少しずつ眠くなる。
ざざざざ…じわじわじわ…
目を閉じたら、聞こえてくる。
目を閉じたら、昔のこと、思い出してくる。
ざざざざ…じわじわじわ…
なんとなく嬉しい。少しだけ淋しい。
               
               弓ヶ浜・五月二十日


 近頃はすっかり下火のようだが、僕らが背伸びしてでも「大人」になりたい年頃に興味をそそられる対象の1つがバイクだった、と思うが、それも人それぞれと言えばそれも間違いではない。僕は、興味をもった。中学の頃、少ない小遣いで買ったバイクの単行本を繰り返し読み、「早く乗りたい!」「こんなにも乗りたいのに、一体何年待てば乗れるんだ!」と一人悶え苦しんでいた。他にも苦悩の種はいろいろあった。例えていえば、密かに想いを寄せている女の子には見向きもされず、好きでもない子から告白されるようなことである。その頃、一番のお気に入りがSR400というバイクだった。なぜそうなのか、理由は定かではない。以来、乗る機会がないまま30年以上が過ぎて、ついに「その日」がやって来た!「レンタルバイク819」で借りた400cc単気筒エンジンは、独特の味わいだった。想像していたとおり、自分好みの乗り味だったが、若干拍子抜けしたのも事実。乗ってみてわかったのだけど、僕がずっと乗っていたオフロードバイク(250cc単気筒)とよく似たフィーリングだったのだ。それゆえ違和感は全くない。ずっと前から知っていたかのようによく馴染む。危うくずっと前から自分のものだったような気になってしまいそうだった。さて、どこへ行こうか。富士山もよかったが、今回は伊豆にした。東から西へと時計回りに一周したらちょうど400km。燃費は27km/Lとまずまずだった。レンタカーに比べると割高だが、バイクを所有するよりは安い。たまにしか乗らないからね、たぶん(笑)。